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子供メガネ買う前に一読! 事故と改善の例 シリーズ3

2018年2月25日

堺市ご在住 6歳 男児

弱視:屈折異常弱視 左右の度数差が大きい 

眼鏡がずり下がるだけで深刻な問題が生じる

弱視等治療用眼鏡処方箋

処方箋
処方箋

使用中の眼鏡 大きな問題点

眼科の紹介で訪れた阿倍野区の百貨店子供メガネ専門店で2年前制作し、以後同系列の最寄りの眼鏡チェーン店で調整を行ってきたと保護者から伺っています。

眼鏡店はいつ眼鏡枠が耳側の角で折れるかわからないと頓珍漢な可能性(お金か子供の視力か?)を指摘されこれ以上調整はできないと言われ、以前からネットで見ていた当店に訪れ、眼鏡制作を願われた。親心は、先に子供の視力が心配。

この眼鏡フレームは、子供枠では定評と歴史のあるM社の某Kというフレームで、色違いとユーザーが男の子と女の子の違いだけで全く同じフレームの故障でお世話したお子様の場合と同じ状況が生じていた曰く付きの欠陥品と認めるフレームです。無論弱視治療は遅々として進まず保護者の心配は推して知るべしです。

子供メガネ買う前に一読! 事故例 シリーズ2 に触れた眼鏡枠と同一枠です。

弱視治療の阻害要因

メガネストッパー
メガネストッパー

眼鏡従事者が正しい調整を放棄し、くだらないシリコンゴムのストッパーを使用しています。

メガネストッパー
メガネストッパー

眼鏡が簡単に広がってしまいずれ落ちる為このケースでも、メガネストッパーが耳掛け部分に取り付けられていた。しかしそれでもメガネはずれ落ちレンズの光学中心が目と合っておらず、弱視治療で阻害要因となる不正プリズムが生じていた。

下記図は、おおよそのアイポイント上で測定したレンズメーター値である。しかしこの後写真からは役10㍉眼鏡は下にズレているのがわかった。この測定値から説明すると

水平方向に 1.75⊿プリズムディオプター

垂直方向に 2.00⊿プリズムディオプター トータルで3.75⊿プリズムディオプター言い換えるとレンズ中心が目と合っていないため

1mのところで像が3.75cmズレているということに成る。実際に生じた不正プリズムは4.5⊿で、4.5cmのズレ。

これが弱視治療が進まない直接の原因かどうかは分からないが、左右の度数の大きな差が有るところに眼鏡のずり下がりにより生じた不正プリズムに大きな疑いがある。

赤い枠に注意
赤い枠に注意

4歳から弱視治療のため眼鏡を掛けているにも関わらず屈折異常の大きい左目の視力が現在も0.6しか出ていないと処方箋にある。

ご来店の動機は、2年間も弱視治療用眼鏡を掛けさせても視力の向上が思わしくないためであった。過去同様の事例で順調に弱視治療が適切に済むケースが殆どで、このようなことは当方では珍しく、考えられることとしてはメガネのズレに依り生じた不正プリズムが弱視治療の阻害要因になっているのではないかと考えられる。

使用中の眼鏡

2年使用した眼鏡
2年使用した眼鏡

問題の説明

補足説明
補足説明

白い補助線の交点が目の中心である。レンズの光学中心はレンズメーターで印点した点で赤い補助線の交点である。明らかに10mmほどズレている。

乱視度数と球面度数を球面等価値では

右 球面等価値 S+5.25

左 球面等価値 S+9.75

生じるプリズムはプロンテスの法則から写真撮影した目の位置から、水平不正プリズム1.75⊿にもっと辛い約4.50⊿程度の上下の不正プリズムが生じていると考えられる。(水平で生じた不正プリズムを加えると6.25⊿)このユーザーが目を凝らしてみない場合、目に入ってくる像は両眼視した場合1Mの所で見える像が6.25cmズレているということ言い換えるとものが二重に見えている事になり・・・このような場合ユーザーがものを見ようとした場合

 

視力と中心ズレの関係グラフ

どのような見え方か?

上の図から分かるように視力は悪くなり、実際の見え方としてはぼやけて見える。単純にぼやけるだけならば良しとしても、難儀なのは後天的斜視それも厄介な上下斜視を形成する場合がある

保護者のお話からは、日頃もっとズレるので頻々と眼鏡店に訪れては調整を行ってきたという。しかし最近に至っては、何度も調整したので金属疲労でメガネが壊れてしまうかもしれないのでこれ以上調整は断るという始末。ならば子供の弱視治療はどうなる?

眼鏡店のまずい対応

眼鏡店は、眼鏡が壊れる場合を危惧して手を触れようとしなかったとの保護者の話であるが、このような子供に与える影響を考え合わせ眼鏡のプロフェッショナル、物言えぬ子供相手の専門店を自負するならば、くだらない眼鏡枠一個ぐらい壊れようと躊躇せず調整を試み、壊れてしまえば保護者に新しいフレームの購入を勧める心構えが必要ではなかろうか?

当店は容赦なく調整し、眼鏡枠の一つや2つ壊れたときは壊れたときの話だと考えている。このような局面で経済性?など論外、子供の目を如何に護るかが優先する。たかがメガネ枠一本ごときで躊躇する必要などない。問題はもっと大きい。

次に・・・眼鏡枠の傾斜について

前傾角
前傾角

分かり易く写真に補助線を入れて説明します。

フロントフレームは、眼鏡の基礎知識として専門的には前傾角が必ず必要になるが、このケースでは前傾角は空を見るような逆に入れられており、フレームの基礎的調整技能が有るのか疑わしい。ヒトは一般的に10~15度程度下方向を向いており視線方向(グリーンの補助線)に対し90度の角度を保つ場合前傾角が自然生じる。

このケースでは写真の有様である。

下記写真はどのように前傾角を設けるか?見て理解しやすいように当店の他のお客様の写真を参考に掲載しています。

トマトフレームの最大の欠点、前傾角のとりにくさはいつも悩まされます。

弱視等治療眼鏡(0歳~)

次に・・・頂点間距離

角膜頂点からレンズ後面までの距離は左右とも均等に18㍉のクリアランス(間隙)を必要とするが、写真のとおりである。

補助線を入れる前
補助線を入れる前

明らかに左右で頂点間距離は同等に保てていない。

補助線を入れた
補助線を入れたところ

頂点間距離は同等になっていない。

結論

小生が判断を下ろすより、これで良いのか?御覧の皆様がよくお考え下さい。ご参考までに(笑)小生の場合結論として少し怒りがこみ上げてくる、もう駄目!

 

新調するフレームとユーザーの目の位置関係

当店ではこのトマトと言うフレームを多用しています。しかし、このフレームも幾つかの欠陥があり、とりわけ前傾角に問題が有ります。このことはトマトフレームの社長に改善策や手法の提示を求めたが適切な回答を得ていない。仕方なく今はなんとか調整で対応している次第です。最近保護者からトマトフレームを銘柄指定して来る場合もあるが、残念ながらこのフレーム自体欠陥を持ち、ただ単にこのフレームを使えば安心というわけでもない。

余談ではあるが・・・非常に残念な話として、フレームデザイナーや眼鏡枠製造メーカー従事者の殆どが、小売店で数多くのユーザーと接触、言い換えると個別のお客様にメガネを作った経験が全くない唐変木が眼鏡フレームを作っているという由々しい現実があり、この事を少しは頭の片隅において置かれると良いかと思います。眼鏡は機能性をデザインで巧みに組み込む必要があるが、レンズのことは全く知らず、毎年何か強迫観念で新型を飽きもせず毎年2回展示されるわけですが・・・良いアイテムに出会うケースは殆ど無い状態です。正直言って実にあたりはぐれの酷いアイテムです。

最近あった話として、眼鏡樹脂枠に消毒用エタノールを吹きかけると、フレームの内部応力がアルコールによりフレームがバラバラに壊れて眼鏡の形は跡形もなくなるなどと言った実例が有ります。スリッパーの有名なブランド品ですが・・・全く話にもならず。販売代理店に欠陥をリポートしたが、市場から回収した様子もなくどうしたのだろうか?と・・・・

ユーザーは眼鏡店に品揃えの良さを求めるが、いろんなフレームを並べた所で適切に選択できるわけでもなく、まして機能性に関して限定していくと眼鏡フレームの品数は数アイテムに凝縮されてしまう現実が有ります。子供フレームの選択には、フレームの軽さと同時にレンズ重量に対する考察が必要になってくる。まず子供のお鼻が平べったく、眼鏡が重たいと万有引力の原則でずれ落ち思わぬ悪影響を子供に与える。加えてレンズ素材の物理的強度における安全性やフェイルセーフに関する配慮など総合的に考え合わせる必要のあるアイテムです。基本的に眼鏡は軽く作ることに尽きます。

アイポイント
アイポイント

フレームは、今日歪みが生じるメタルやアセテートフレームから透明ナイロンの樹脂枠が主流になってきている。可愛いあるいは格好いいなど眼鏡だと保護者が子供に納得させようと努力される場合が多く見られる。しかし弱視治療という生涯の視力に関わる大切な時期、小生の本心から言えば、眼鏡枠は強く壊れたり歪みにくいのが大前提で、眼鏡をかけて鏡にうつる姿を見ない限り絵柄などは正直言って本人は見えないし関係ないと思っている。

保護者は子供を説得し指導する立場で子供心は理解するにしても専門家の意見をもう少し聞き毅然とした態度も教育の一つだと考えている。保護者のご希望は参考にしても何もかもではありません。まっ、大丈夫ですけど・・・

目と予定するレンズ中心を他覚(検査側の危うい観察に依るもの)と自覚検査で中心の一致が有るか?確かめました。ご両親にも見てもらいました・・・しかし少し目を細める傾向があり確信が持てないので写真補正を行っています。(大人も子供も大体撮影していますが・・・)

どうしても右中心が下にズレている気がしてならない。

前の写真を参考に
前の写真を参考に
画像補正
画像補正

予定しているレンズの設計図

厚みと重量
厚みと重量

レンズの重量は 右 5.5g 左 8.0gを予定し、合計13.5g

フレーム 7.0g

総重量は20.5gの予定

レンズレイアウト
レンズレイアウト

光学中心の座標は、写真から適宜補正を加えた。

レンズ到着 加工仕上がりなど

加工前のレンズ/フレーム
加工前のレンズ/フレーム

レンズは設計通り、耳側において0.5㍉のナイフエッジに薄く仕上がっている。

レンズ取り付け後の概要

レンズ取り付け後の概要
レンズ取り付け後の概要

レンズ外周は鏡面研磨を施し、厚みが目立たなくなっている。加えてこの加工はフェイルセーフすなわち何らかの大きな力が加わった時フレームから外れ怪我をさせないための気配りである。

レンズの厚みの概要

上下からの厚み仕上がり概要
上下からの厚み仕上がり概要

限界までレンズを薄く作ったが、どうしても左レンズの厚みは避けようがない。

 

厚み比較
厚み比較

一番下は現在使用中の旧眼鏡であるが、左レンズがフレームの前に飛び出しており、外観上度数の違いを強調しとても見苦しい。新しい眼鏡はフレームリムが厚くできるだけフレームの溝の中に収まるよう外周加工を施した。使用中の旧眼鏡レンズの外周は削りっぱなしのため厚みさが目立つが、新しい眼鏡はどの方向からも厚みを目立たなくした。

前に飛び出したレンズ
前に飛び出したレンズ

新しい眼鏡は出荷状態で湾曲が生じている。無駄な湾曲は不用意に不正プリズムを生じさせる憂慮があるため手渡し前に加熱調整で湾曲を取る。フレームメーカーはカタログで自画自賛しいろんな薀蓄を述べて居るが、フレームデザイナー共々実際に度数のあるレンズをユーザーに合わせ諸般の光学的理論に鑑み完成品を作るという現場経験がない事実がこの辺りに如実に現れている。またフレーム前傾角を合わせようとした時困難に遭遇しストレスを禁じ得ない。

日本の眼鏡フレームメーカーは長年の実績に安穏とし努力を怠って久しく。1~2年でフレームがかように押し広がるようなフレームはブランドと呼ぶには相応しくない。ただのガラクタ。ブランドとは最低10年ほどの耐久性が有って初めて品質の定評を得た銘柄の呼称であるべきである。

仕上がり重量 21.3g

今回、 フレーム + レンズ = 総重量は 21.3g

実装

レンズ光学中心確認
レンズ光学中心確認

レンズ光学中心はほぼ瞳孔位置に収まっているが、不十分なためこの後中心

位置まで前傾角調整の時に調整し上に引き上げた。

頂点間距離確認
頂点間距離確認

規定の18㍉程度に頂点間距離点検で補正。

 

前傾角調整
前傾角調整

このトマトフレーム最大の欠陥は前傾角調整が非常に困難な点にある。最終調整の前になんとかフレームの根元(智と業界では呼ぶ)で熱調整を試みたがやっと上の写真程度にしか前傾角調整ができない。しかし視力に関わり合いのある眼鏡を構成する重要な要素の一つである。眼鏡本来の格好など無関係に頂点間距離補正を行った結果が下の写真。写真からわかるようにテンプルの中央部で曲げ込んで調整を完了した。この点は保護者に説明し了解を得ている。

眼鏡調整はフレーム本来の形状など崩そうがいかなる方法でも護るべき点は護る必要がある。

トマトフレームがそのままでは殆ど使い物にならない理由がここにあり、トマトフレーム製造元が通販でフレームを直接販売しているがユーザーが発売元から購入しそのフレームを眼鏡店に持ち込んで、はたして調整に応じてくれるかどうか疑問が残る。発売元の姿勢に大きな問題があると以前より感じる。

重量の改善

使用してきた眼鏡重量 : 24.0g

使用してきた眼鏡
使用してきた眼鏡

使用中の眼鏡、実にひどい状態になっている。果たしてまともな定期点検と調整がなされてきたのか?甚だ疑問である。

新しく調整した眼鏡 : 21.3g

レンズ取り付け後の概要
レンズ取り付け後の概要

結果としては 2.7g軽量化されただけなので重量的にはさほど軽くなったというわけではない。しかし重量分散を耳側に負荷したため、ユーザーは軽くなったと言っている。

ユーザーの声

母親が「どうよく見える?どんな感じ?」とお子さんに聞くと「前の眼鏡よりよく見えて、目が楽」

母親は「前のお店でレンズが飛び出しており「みっともないのでなんとかできないかと頼んだが希望を容れてくれなかった。この眼鏡はレンズがフレームにキチッと収まって飛び出しがなくなり、削られた部分が白から透明に磨かれており見た目が良くなった」

現在眼科より視力を良くするためアイパッチを勧められておられるが、少なくともお子さんの目に生じていた不正プリズムの発生を改善したため、正しく調整された今回の眼鏡が弱視治療の手助けになるよう願っている。

なお、6歳で左目が矯正視力0.6しか無く、この後経過観察を保護者の希望により次回当店で規定する1週後の定期点検の後、半年ほどの間毎月の定期点検を行い経過観察を行うことにした。

指導

眼鏡使用するお子さんにレンズ中心のチェック方法、眼鏡装着直後点検のしかた。読書などする時どのように使うか?など指導。

保護者には左レンズが強度遠視性のために生じる死角と見え方について説明。





 

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