子供メガネ 左右の度数差が大きい
【お問合わせ内容】
めがねのホシノ店主 殿
初めまして。大阪市中央区在住の◯◯と申します。
3歳9ヶ月の息子が遠視による弱視と診断され、
右目が4.25、左目が8.5 瞳孔距離50と言う処方箋をいただきました。
左目の遠視が希有な事例だということで、
先生も、治るかどうか、やってみないと分からないということでした。
少しでもよい眼鏡をと思いインターネットで検索しこちらに
たどり着きました。
万難を排して、参りたいと思いますので、いくつか空いてる日時を
ご教示いただけましたら息子とお伺いできればと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
【返信】
〇〇 様
お問い合わせありがとうございます。
お困りの様子お察し致します。
右と左の度数が極端に離れている不同視弱視ということになります。
この様な事例は過去多数対応してきております。あまりご心配する必要は
無いかと存じます。
ただし眼鏡の作り方に関してはかなり注意を要することは事実です。
予約状況から予約可能な日は
8月24日午後から
25~26日午後であれば
27~28日はほぼどの時間帯でも
29日は 午後1時のみ
という感じです。
予約確定はお電話いただき予約状況を見合わせながら確定させていただきますので
お電話ください。
取り急ぎご連絡まで・・・
めがねのホシノ
星野龍一
ユーザー
大阪市内ご在住 3歳9ヶ月 男の子
処方箋詳細
眼鏡目的
弱視等治療用眼鏡(不同視弱視)
度数
右目 S+4.25
左目 S+8.50
PD 遠用=50.0
(略号説明 S=球面度数 瞳孔間距離=右目と左目の中心間の距離)
目の中心を捉える作業
子供メガネを受注するのに一番肝心な目の中心を選択されたフレーム上に捉える作業の一場面より・・・
無論、子供さんは我々が何をしようとしているのか幼いので知る由もなく、覚えのある「写真撮影」ということで可愛くいろんなポーズをしてくれます。検者は汗をかきながら一生懸命、「こっち向いて こっち向いて・・・ここ見て~~~」確かにこっち向いてくれてます。(笑)実に可愛い。

色んなポーズ1

色んなポーズ2
もう 飽きてきた・・・・

色んなポーズ3
子供はジッとしないのが当たり前、まして我々が何をしようとしているのか解してくれないのは、当然のこと。なので根比べ・・・(´・ω・`)
眼鏡店が形作る大切な品質
普通眼鏡店に行くと品質に関しメガネフレームやレンズメーカーに販売者や顧客の関心が行きその説明で満足するかもしれません。説明をする当の販売者が作業し決定づける「子供の目」と「レンズ光学中心」に掛かるなかんずく「一番肝心な品質」がおろそかになっている場合が殆どです。
どのような事情(見ず知らずの人と初めての対面で泣いたり、フレーム装着を嫌がったり)があろうと子供メガネのいちばん大切な品質はメガネを掛けたときレンズ光学中心を日常生活の中で使用される位置を特定し合わせる作業が子供メガネを作る基礎であり第一歩。この作業を済ませなければ後のレンズ設計(薄く・軽く・快適に)に進めず(勝手にやる眼鏡店もある)レンズ発注もできない。
よくある問い合わせ
「処方箋を持参しフレームを決めたら、目の中心を測定せず勝手に子供メガネを作ってくれた」と疑問を感じる保護者からよくメール問い合わせを受けており何れそのメールを掲載しようかと考えている。
不同視の場合
このケースのように右目と左目の度数差が大きく離れている(不同視)場合、特に眼鏡がずれ下がるだけで子供の目を通して見える像は右左で高さが異なって見え、これを一つに見るために目の外側にある眼外筋に無理を生じさせ強い不快感を生じる不正プリズムが生じやすい。眼鏡の作り方や子供の使い方などにもよるが、目とレンズ中心が合わない眼鏡を装着した状態を長期続けると「後天的な上下斜視」を生じさせるリスクがある。
したがって我々は最大の注意を注ぎフレーム上に正確に目の中心を捉える作業の良し悪しは眼鏡の品質を決定づけてしまう。購入行動で一番関心を持ち、保護者が確認することにより結果として子供を護ることになる。
保護者への告知・確認
このような不同視に限らず子供の視力状態については、眼科で十分なが説明が行われる機会は診察時間の都合などから少ない。一方、保護者が事前に光学的知識を持っていたり生じうる不都合を理解している場合は、稀か知らないことが多い。したがって上記で述べた不都合を理解・啓発する意味からも眼鏡を作る第1段階から光学中心特定の重要性とそれが確実になされたか保護者確認を行っている。
中心測定シールが邪魔\(^o^)/
見えるところで見ています。

色んなポーズ4
なんとか一瞬中心を確認した直後・・・また、見えるところから覗いています(笑)ほんとはシールの窓から見てほしいのですが

最終確認直後撮影
中心確認後(フレーム上 目の中心位置座標測定後)レンズ設計

レンズ設計 厚み/重量確認
オンライン発注4日後レンズ到着

到着したレンズ
未加工レンズの厚み比較
写真撮影が下手で見えにくいと思います。概略ご理解いただければ結構かと思います。右左の度数差は倍です。しかしほぼ同じ位の厚みの仕上がりです。ちなみに右レンズの度数、わかりやすくは拡大鏡の度数程度、左はその倍の度数です。フレーム選択やレンズ設計により殆ど厚み差無く作ることが可能です。

未加工レンズの厚み比較
レンズ外周加工後の概要
加工後のレンズの写真です。左右の厚み差や重量差は、ほとんど無く仕上がっているのが写真から分かる。保護者にこの厚みについて手で触れて確認を求め、「手で触れて厚みの差を殆ど感じませんね」と言う感想であった。

加工後レンズ概要
レンズの厚み・重量について詳しくは
眼鏡の両側厚は 右 0.6mm 左0.5mm
中心厚は 右 1.8mm 左2.9mmである、
重量は 右 1.6g 左 2.3g
レンズを薄く軽くする隠れた目的
1)眼鏡がずれ下がらないようにする(わかりやすい)
2)レンズを透過する光線量を減らさず、明るく明瞭に見させる、光学性能の向上:視覚刺激が網膜に生じやすいように(あまり知られていない)
3)幼いユーザーの眼鏡の掛け外しや取り回しを容易にする (わかりやすい)

厚み比較
子供メガネ完成写真

レンズ組付け後概要
フレームリム部どの位置からもレンズが分厚くはみ出していない

上部から厚み比較
斜めからの概要 見えない「死角」
斜め方向からレンズ越しに見た向こう側は白く鏡面反射しておりユーザーから見えない「死角」が生じている。保護者とユーザーへの眼鏡の使い方と安全指導は必須で有ることは言うまでもない。

子供メガネ 斜めからの概要
出来上がった子供メガネの装着直後の概要
ユーザーは少し右を向いているため中心位置がずれて見えるが中心は適正に合わされている。フレーム横に補助の「赤い印」を入れてあるが、保護者が眼鏡装着直後眼鏡がずれ下がっているかどうか簡単に見てチェックしやすいように入れた印である。
上下斜位の発生警戒、レンズのと目の高さの位置は厳密に合わされている。黒目部分の白い点(角膜反射点=目の中心)

出来上がり装着直後
眼鏡重量
レンズとフレームを合わせた総重量 ; 11.9g (右レンズ 1.6g 左レンズ 2.3g フレーム重量 8.0g)
1周間後
保護者の話 「子供がよく見えるのか自分から進んでメガネを掛けてくれている」「アイパッチはカブレるので徐々につける時間を伸ばしています」(アイパッチは眼鏡取り付けタイプを同時販売、よく見える方の目=このケースでは右目、に取り付ける)(つける時間は眼科指導による)
不同視の場合右左で見える像の大きさの差を感じる=不等像視(同じ物を見ても左右の目で大きさが異なると感じる状態)が生じる場合、時々眼鏡を忌避する場合があるので少し心配した。この問題は難なく乗り越えたようである(脳の解析能が時間とともに解決する)。
精神的ケアー:周辺の家族がメガネを掛けることを褒めて上げるようにと伝え願った。祖父祖母などから褒めてもらっているとのことであった。稀にヒドい眼鏡枠を某百貨店子供メガネ店で購入しメガネを掛けさせると泣き出す、一度トラウマができてしまうとメガネを掛けなくなり弱視治療の機会を危うく失い掛けていた事例が有った。
当初、眼鏡のフィッテイングを嫌がることがないよう意図的に少しルーズフィッティングにし1週後調整予定であったが、点検時保護者に聞くとずれ下がるということで、適正なタイト・フィッテニングもなるようツルの長さを短かく再調整。ピョンピョン飛び跳ねてもズレなくなった。
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