子供メガネ 重量改善 25gを15gへ軽量化
ユーザー
京都市内 5歳 女児
重量改善
主訴
使用中の眼鏡がすぐにずれ下がりズルズル5歳になっても弱視治療が遅々として進まなく、常にずり下がるのが原因でないかと考えて不安である。レンズ中心が目と合っているか検査と調整だけ願ったが、使用中の金属フレームは強度不足でよく曲がり頻々と来阪するのは時間的負担が大きい。今の子供のメガネの重量が25.0gと重たくズレ下がり弱視治療に支障が生じていると思うので、意を決し少し遠いが大阪で眼鏡新しく眼鏡を作ってあげたい。
改善
眼鏡がずれ下がらないよう改善し軽量化を図る、非球面レンズを使っているが中心以外では度数が変化するため球面レンズに変更
重量軽量化
必要ない大きなメガネフレームを廃し、軽量強靭なポリアミド樹脂フレームを選択。目の中心位置測定とフレーム形状を勘案しレンズを薄く軽くなるよう設計した。眼鏡総重量は15.0gまで軽量化。以前のフレームに比べ10.0g軽量化することにより、ずれ下がりは殆どなくなった。
フレーム
体に影響を及ぼさない素材
ユーザーはアトピー性皮膚炎を持ち可塑剤を含まない素材が望ましく、当方で5年前から採用し形状変化が生じにくい物理的強度が高い透明ポリアミド樹脂(透明ナイロン)を選択使用。
子供の習性
使用後の高さ調整(ズレ調整)
子供の習性に適さない金属枠
有名なフレームも
最初この事例では、子供フレームで福井県の定評(過去の)のある伝統あるフレームメーカーによるブランドKの金属枠を使用していた。素材は比較的機械強度の高いチタニューム素材を使用したものではあった。残念ながら全く使い物にならない状態まで変形していた。
我々も眼科の指定などで長年このブランドの眼鏡フレームを多用してきた。しかしユーザーと接する最前線の店舗やユーザーの話など聞かない頭の固い姿勢のため改善提案しても聞かない独善のため止む無く振興メーカーの子供フレームを採用し、従来品は悪性在庫という始末である。
くだらない色使いやデザインは、子供の習性などを考慮した構造を優先して再考するべき、だが手遅れ。
子供の習性
子供達の一般的なかけ方は、どうしてもメガネフレームのテンプルを両手で持ち、次に押し広げながら顔にメガネを掛ける行動が普通で、眼鏡店の希望や指導など無駄であり無用でもある。このケースでも同様の使い方で眼鏡フレームの幅は徐々に押し広がり、1~2ヶ月程度、長くて半年でズレていたと聞いた。
こうなるともはや眼鏡が顔にかかるのではなく、保護者いわく「おばあさんの掛ける老眼鏡のような鼻眼鏡になってた」。眼鏡店が幼い子供相手に、いくら指導すると言っても無理・限界がある。
ずれ下がると視力に影響
このケースでは両眼の度数が同じなので左右の度数差の異なる不同視弱視と異なり上下プリズムは生じないが、眼鏡がずれ下がることにより目に入る光線は網膜の黄斑中心窩に正しく結像せず十分な視覚刺激を得ることができない。故に弱視治療が遅々として進まなくなっていたと考えられる。
眼鏡を新調してから事後の定期点検で、保護者のお話では、眼科で視力の向上が認められたとの由。
当店では
実は当店でも福井の有名子供ブランドフレームで同様の事例が過去に当方でも有った。苦い経験から今日柔軟性に富み子供の手で押し広げる習性に対して抵抗力のあるポリアミド樹脂(透明ナイロン)製のフレームを採用するようになった。
レンズの改善
レンズを無造作に作れば以前と同じような重量になってしまう。目の中心位置とフレーム形状は互いにレンズ中心に影響を及ぼす。
改善点
1)フレームの形状と大きさ、これに加えユーザーの目のアイポイント位置は相互に影響し合う。フレーム選択は必要最小限の大きさを適切に考慮し提案した。
2)レンズは球面度数と乱視が絡み合うと予想以上にレンズの厚みを増す。レンズ設計の段階で分厚くならないよう下記の通り設計した。レンズ度数は一般規格品のない特注品のため厚み比較するものがないが、現在の技術レベルで一番薄く軽くなるようにした。
結論
これにより使用してきた眼鏡重量25gを、画期的な15gまでに引き下げられた。
レンズ設計図
度数
右 球面度数+8.50 乱視度数-1.00 乱視軸180
左 球面度数+8.50 乱視度数-1.00 乱視軸180
瞳孔間距離 51.0 mm
中心測定
小さなユーザーの声
「眼鏡が軽く、ずれ下がらなくなった、よく見える」
結論
視力育成のための大切な時間を他店で作った眼鏡がずれ下がることにより十分な視力育成=弱視治療が遅れ、過ごした時間が無駄になり残念である。
新しい軽くずれ下がりにくい眼鏡になってから視力向上が有ったと保護者から報告があった。続けて定期点検による経過観察を行い目とレンズ中心の一致を維持していく。
ユーザーの声
その後経過、定期点検時、「眼鏡をこちらでお願いしてから、ずり下がりが画期的に減り視力育成も順調進んでいる」とご両親、本人もよく見えるようになったと聞いている。
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