長年の苦しみ モノが2つ見える 上下斜位と外斜位
ユーザー
大阪市ご在住 女性
プリズムレンズの持つ加工の難しさ
斜視矯正レンズは、レンズ断面が三角のクサビ状になっておりただ従来のやり方のクランプでレンズを機械に挟ませた時、簡単にズレが生じ中心の狂いが生じる加工の難しさがある。またレンズを加工のため加工台にブロックするにも、殆どの眼鏡店で使用されている投影式ブロッカーは正確な中心位置を求めにくくアバウトなプリズム度数と成ってしまう由々しい現実がある。
狂いが生じない=的確なプリズム矯正が視軸上で負荷可能になるよう特殊なレンズブロッカーとレンズ加工機を使用している。しかしそれだけでは済まない側面が有り、星野が編み出した独自手法で完全クランプし中心の狂い、言い換えると正確なプリズム矯正が可能になるための工夫が裏で行われているとご理解ください。
如何に高性能なレンズ加工機を使用しても、それだけでは済まない裏事情が現場に有る。
メガネに対する考察と対応
ユーザーは、長らくコンタクトレンズを使用してきた。コンタクトレンズは視線方向にプリズムの生じにくい度数矯正にも拘らず強い外斜位と上下斜位が生じていた。コンタクトレンズで斜視矯正は不可能である。コスト面や利便性から遠近両用を希望されたが・・・
遠くと近くを別に
1)左右の度数差が大きいため、遠くを見る遠用中心から12~14㍉下方部を使用し見る遠近両用レンズでは左右間で約5度の差がありプレンティスの法則に依るプリズム度数が上下に6.00⊿のズレが生じ、近見30cmであればその約3分の1程度に減じられるとしても見ようとする文字は、上下にダブり目に強い違和感が予想され、なおかつ上下斜位を助長する結果につながるため、詳しく説明し遠用と近用を別に持つことを勧め遠用と近用の2個作ることにした。
2)近用は、読書する目線が経由するレンズ中心に下記度数を付加し見やすくした。このような合わせ方は近見時の姿勢と目線方向にだけ有効であり、目線を他に移動した時見え方に違和感が生じる旨説明。言い換えればメガネを掛け見やすい位置で読める視線位置にレンズ光学中心を配置し、使い方の指導。
3)一般安売り店での経済性は、このような特殊眼鏡の場合、比較にならず予算が予想と異なったとのご感想であった。しかし、目に生じている不都合を矯正する場合、万全を期するため作り直しのリスクがあり費用がかかるため価格は仕方がなく、むしろ2重に見えていた辛さを解決する対価と考えれば、贅沢でもなんでもなく視力を補う医療用具だという理解を得れた。価値観に関し感じ方は人様々、ただし事情に合わせ適宜価格調整は行っている。
4)一つ幸いなことは、両眼視が可能な矯正であった。
制作した眼鏡の詳細
遠用
かなり強度な外斜位と上下斜位と不同視
今まで使っていた眼鏡の度数
右 S-0.75C-2.50A95
左 S-5.25C-1.75A80
新規調整した眼鏡度数
右 矯正視力1.2 X S-1.50C-1.00A110 ベースイン 8.00⊿
左 矯正視力1.2 X S-6.25C-0.75A110 ベースイン 8.00⊿ ベースアップ 5.00⊿
プリズム補正後の瞳孔間距離 65mm (中央より右33.5 左 31.5mm)
近用
外斜+上下斜位近用
右 S+1.00C-1.00A110 ベースイン 9.50⊿
左 S+3.75C-0.75A100 ベースイン 9.50⊿ ベースアップ 5.00⊿
プリズム補正後の瞳孔間距離 61mm
その後
矯正後の定期点検で快適にご使用され、不都合は無くなっていた。
コメント