近くが見難い

近くが見難い 強度近視 

当方の測定から見れば、使用中の眼鏡は遠見度数に対して両眼とも+1.50の弱矯正でこの程度で弱い老眼鏡状態である。では何故近くが見難いか?を考えた。

兵庫県 53歳 男性

主訴 近くが見難い

使用中の眼鏡度数

右 S-12.00 C-0.25 A97

左 S-10.50

 

視力測定

プラチド―検査測定から高次収差(不正乱視)のないきれいな角膜で他覚及び自覚検査で乱視矯正なくてもよく見えるので乱視は外した。

右 裸眼<.05 矯正 1.0 X S-13.50

左 裸眼<.05 矯正 1.0 X S-11.50  BO 2.00⊿ BD 1.00⊿

遠見両眼視力 1.2~1.5p

原因

原因は内斜視と上下斜視であった。これを矯正

検査法

斜視検査:フォングレーフェと十字ポラテストで眼位のズレ検出。矯正後片眼づつの矯正視力1.0は、両眼視力で1.2~1.5pを得た。強い内斜視が検出されるもユーザーが違和感を感じない遠くと近くが見える程度まで弱めた。

結論

近くが見え難くなった主因は、上下斜視が生じていた為ではないかと考えられる。なるほど使用中の眼鏡の遠見中心は遠見で合ってはいるが、日常の仕事で近方視を長時間続けている、言い換えると読書姿勢でレンズの15㍉程度下を常に見ているため屈折力の左右差による約2.25⊿(プリズムディオプター)が日常的に生じていたと推測される。目はそれに順応して不正プリズムが生じたレンズ部分を通して見ていたため後天的な上下斜視になったのではないかと考えられる。

これにより快適に見えるようになったというユーザーの満足を得た。

近見調整(老眼)

続いて加齢変化による近くを見る調節力を年齢に相応した+2.00累進テストレンズで実測テストし楽に問題なく細かい字が読めるという確認を得て度数決定。

手段

メタルフレームと累進屈折力レンズ(境目のない遠近両用眼鏡レンズ)による

加工前のレンズフレーム

加工前のレンズ・フレーム注文し出来上がった超高屈折率1.74屈折の累進屈折力レンズ、かなりの厚みがある。

レンズ加工の工夫

他者から見られる牛乳ビンの底のような厚み感( 渦立 )を軽減するため、

1)レンズ外周部は鏡面研磨を施し、

2)耳側に生じる厚みを特殊面取り工程を加え、実質的に厚みを減児じた。

フレーム取り付け後

フレーム取り付け後

 

上部からのレンズ厚概要

上部からのレンズ厚概要

 

特殊面取り作業

特殊面取り作業

実装

ユーザー実装

写真は調整前

最終調整前

調整

無論ユーザーのアイポイント(目の中心)は、フレーム選択直後かなり精度良く測定している。

1)右クリングス(鼻パッドの取り付けアーム)がレンズの厚みに干渉され枠全体が右に寄っていた

2)なおかつ左中心僅か上に位置している。

いくら正確にアイポイント測定を行ったと言えど事後の微調整は必須である。

使い方によりフレームが変形すれば簡単に整合性は崩れる危ういものである。

眼鏡の掛け外しにより徐々に変化する場合は本人の自覚もなく分からないでいる場合があり数ヶ月単位で調整を行わなければならない所以がここにある。

簡単にできる中心チェック法

眼鏡店にあるレンズメーターや専門の検査手段など無くとも、使用する眼鏡の異常を簡単正確に検出できる。眼鏡のメインテナンス法。

星野式ワンハンド検査法

星野式ワンハンド検査法

ユーザーの感想

ユーザーの眼鏡使用後の感想、「希望していた近くも遠くもよく見えるようになった」ということであった。

指導

ただし今まで使っていた単焦点レンズの見え方と累進屈折力レンズ=境目のない遠近両用眼鏡とでは、使い方において制限がある旨説明をした。

今まで単焦点レンズの使い方では右や左を自由に見ていた。しかしこのような遠近両用の機能性レンズは制限が生じ使い方に工夫が必要である。

近方視する場合レンズにデザインされた垂直に下る真正面方向が可視部分でそれ以外の部分は見難くなる点にある。

初めての遠近両用レンズに使い慣れるまで少し時間を要するように見受けられた。

その後

手渡した定期点検に従い、ご来店いただきその後の様子を聞き追跡調査を行っているが、良好な見え方にご満足いただいている。

after service card

after service card

 

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