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【実施例200109】メガネを軽く薄く

2020年1月31日

【実施例200109】メガネを軽く薄く

どのメガネユーザーも眼鏡が違和感なく良好な視力を確保できる事が先ず前提であり優先する。次に相手から見られる事を意識しレンズを「薄く」付随的に使う限り「軽く」「格好良く」したいとうことは互いの関心事で我々眼鏡業者も希望に添えるべく各種の提案を行っている。これは普通の行動様式であろう。

このケースで持ち込まれた眼鏡は、とある大阪梅田の他店におけるものである。先ず「ウスカル」と言う少し顧客を忘れた店側のテーマ有りきで、レンズを薄く超高屈折率1.9ガラスレンズ基材のバリエーション限定された単焦点で適当な弱矯正でユーザー曰く「アフターコンタクトで使用しており、よく見える眼鏡を使用したことが無いのでそんなふうなものだ」と考え特に右側を使用していない事に疑問を感じていた。機能性(累進屈折力レンズの種類が無い)レンズは提案もなく使ったことがなく知る由もなかったと言う。

主訴

仕事で文字を読むのに今のメガネは不快で読みづらく左目で見ている。眼科から右目軸性近視で飛蚊症があり違和感。最近右目が急速に視力低下がある。使用中のウスカルメガネは重たく相手から見られる時メガネレンズが半分しかなくレンズの周辺に渦が立ちみっともない。レンズの薄さだけの話で満足な視力を得れず困っている。

ユーザー

大阪市内在住 58歳 女性 事務職

利目 : 右目


使用中眼鏡度数

右 S-9.25

左 S-6.50C-0.50A135

瞳孔間距離 64.0㍉

眼鏡総重量 22.8g

ウスカルメガネ1
ウスカルメガネ装着正面
ウスカルメガネ装着斜めから撮影
スカルメガネ装着斜めから撮影
光学中心は遠用に合わされているがこの眼鏡の度数は近用である
光学中心は遠用に合わされているがこの眼鏡の度数は近用である
近用であればレンズ光学中心は赤○の位置
近用であればレンズ光学中心は赤○の位置

使用中のソフトコンタクト度数

右目 ソフトコンタクト矯正視力 0.5 (口径14.2㍉ BCベースカーブ8.50 S球面度数 -10.00 )R>G 矯正不足

左目 ソフトコンタクト矯正視力 0.9 (口径14.2㍉ BCべ-スカーブ8.50 S球面度数 -6.50 )R=G 過矯正

使用銘柄 AcuvieMoist 


当店測定

右目 矯正視力 1.2 X S-14.00C-0.75A65 近見調節度数  add加入 +2.50
プリズム矯正値 BI 1.00⊿ BD 1.00⊿
左目 矯正視力 1.2 X S-8.00C-0.50A160  近見調節度数 add加入 +2.50
プリズム矯正値 BI 1.00⊿ BU 1.00⊿

両眼視力 : 1.2 

遠用PD=65.5

度数差による不等像視の有無 : なし

眼鏡総重量 : 17.0g

強度近視乱視斜眼鏡

新たに作った中近メガネ
新たに作った中近メガネ 累進屈折力レンズ 屈折率1.76
左強度近視レンズS-14.00に渦巻(ゴースト)は生じていない
左強度近視レンズS-14.00に渦巻(ゴースト)は生じていない

使用中の視力矯正用具比較表

視力矯正用具 矯正視力 球面度数 乱視度数と軸 プリズム矯正 近見加入 重量
ソフトコンタクトレンズ 右 0.5 S-10.00 なし なし なし 角膜装着 0g
左 0.9 S-6.50 なし なし なし 角膜装着 0g
使用中のウスカル眼鏡 右遠見0.05  近見0.3 S-9.25 なし なし なし 22.8g

左遠見0.6 近見1.0 S-6.50 C-0.50A135 なし なし
新規 累進屈折力レンズ眼鏡 (遠近) 右 1.2 近見1.0 S-14.00 C-0.75A65 BI 1.00⊿ BD 1.00⊿ +2.50 17.0g

左 1.2 近見1.0 S-8.00 -0.50A160 BI 1.00⊿ BU 1.00⊿ +2.50

ユーザーの話

使用中のウスカル眼鏡

「4年前購入したウスカル・メガネは少し使用したが、眼鏡を掛けて読書しようとしても左目だけ文字を見ていて強い不快感が有りよほどのことがない限り使用していない」「遠くも近くも見にくく近くは左目だけで見て右目は見ていないる感じ、右と左で文字が見える距離が極端に違う」

新しく作られた眼鏡

「一週間ほど使用したが、遠くがこれだけ違和感無くスッキリよく見え感動的、今まで使っていなかった右目が生き返った感じに思わず感動を覚えた。パソコンや読みたかった単行本も一つの眼鏡でこれだけ疲れず楽に読めるものだと思わなかった」


改善点(使用中眼鏡との違い)

1)現在使用中の眼鏡は遠くも近くもよく見えず、これまであまり使っていなかった。新規レンズは度数を現在の目の屈折状態に合わせ右側球面度数を約S-5.25程度旧来の度数より強め、両眼それぞれ1.2の視力状態まで引き上げる一方、近見調節力不足(老眼)を補った。

左右で度数差が6.00有るが、近見視線位置における不正プリズムが生じるのはメガネの使用方法を指導し使用に耐えるかどうか確かめ、違和感なく快適であることを本人確認の上敢えてこの強い度数差を採用。ただし経過観察を必要とし、定期点検でもし異常があれば対応する。

2)これまで使用するメガネの度数を上げると「何故か強い違和感」(斜視をスクリーニングしていないのが原因)が生じるので、見えにくい弱めの度数に甘んじてきた。このたび両眼それぞれ1.2の視力に補正し、物がはっきり見えるため生じる見える斜視に依る像位置のズレ=複合斜視に起因する違和感を「プリズム補正」したところ(コンタクトレンズで矯正出来ない「プリズム矯正」)で違和感が消失した。その結果眼鏡の装用感即ち「見え方」は当然ながらコンタクトレンズの比では無く快適であるという。

3)レンズ外周部に生じる白い渦=ゴーストによる厚み感は、レンズ外周部を鏡面研磨すれば消せる。ガラスは、やろうと思えばレンズ外周研磨で渦を消せるが相当手間暇がかかるため当店でもほとんど行っていない。

しかしプラスチック素材は軽量かつ外周研磨が容易で簡単にゴーストを消失させることができる。ユーザーの印象としてプラスチックレンズはガラスより分厚く加えて更に強い度数にも関わらず、外周研磨されたプラスチックレンズのほうが渦の立つガラスレンズより厚み感が少なく感じると言っていた。

レンズの大きさは極端に小さく不自然なウスカルメガネより、この度の少し大きめのレンズサイズは顔にかけた時自然で顔に馴染み視野が広く見易いとのことである。

4)安全性、高屈折1.90無機ガラス基材は普通のガラス同様傷がつきにくいメリットを有するが、装着時レンズがフレームの干渉を受け縁欠けし易く、仮に縁欠けしたガラス片が目に入れば失明の危険性が隣り合わせであった。プラスチックレンズを使用したため割れにくく縁欠けする危険性は格段と低下し安全性が高く安心である。

5)光学的欠陥:色収差、1.90の高屈折レンズは必然的に色収差を起こす。どういう現象か?見ようとする対象物の周囲にオレンジ色と青色の縁が眼鏡をかければ常に見えて不快である。新レンズは色収差を起こしにくい限界のより低い屈折率1.76のレンズを使用したため色づく「色収差の不快感」がなくなった。

6)レンズデザイン:1.90ガラス基材は「単焦点」のみの対応である。ユーザーの遠くと近くを見えるようにできる「機能性」=累進屈折力レンズ、すなわち遠近両用レンズ等は用意されていない。

光学知識を熟知する各大手レンズメーカー達は色収差の出にくい屈折率範囲内においてのみ各種機能性レンズを用意している総合的背景がある。

今回日常生活に必要な中近距離の視力を一つのレンズを通して見ることのできる機能性を適切に活かすことによりユーザーは今まで経験のなかった日常生活における視生活の快適性=少し離れた所と近くを楽に色濃く違和感なく快適に見る機能性を享受できるようになった。

結論(ユーザーの話から)

販売店の薄く軽くと言うテーマ「ウスカル」は販売店の自己満足に過ぎず、ユーザーが基本的に求めている「物を楽によく見える」利便性はなく単純にレンズは「薄い重たく」粘りが無く割れやすく「危険」なガラスを眼前に置き、パソコン作業をしたりする機能性がなく「視力検査不十分」「見えにくいがこれしか無いので仕方なく使っていた」。少し分厚くとも今回提供された別手法による「レンズ外周研磨でレンズの厚み感は十分軽減されで渦が立たない」また「妥当な大きさのフレーム」で人から見られる美観は解決し満足、眼鏡を新調すれば必ず伴う目の圧迫感や異常は「複合斜視矯正」で見え方が今までより楽で自然ソフトに見え、日常生活上大半を占めるパソコン作業や室内活動における視生活は大幅に改善され楽になった。


眼鏡制作プロセス

瞳孔中心測定
瞳孔中心測定

レンズ外周加工の仕上がり具合シュミレーション

実使用したレンズの屈折率1.76だがシュミレーションはそれより低い屈折率1.67で模擬計測

レンズ加工シュミレーション
レンズ加工シュミレーション

準備できたレンズとフレーム

レンズとフレーム
レンズとフレーム

仕上がったレンズ厚みの実比較

左右の厚み比較
左右の厚み比較
レンズ厚み比較斜めから
レンズ厚み比較斜めから

レンズ組み付け後の概要

レンズ組付け 正面
レンズ組付け 正面
上部からの厚み観察
上部からの厚み観察
斜め上方から
斜め上方から
強度側厚み観察
強度側厚み観察

補足 レンズの厚みと圧縮率(屈折率)

「圧縮レンズ」即ち「屈折率」で確かにある程度レンズの厚みを薄くする効果は否定できない。だが、知識を深め考え直していただきたい事柄が有る補足説明を行う。以下に提示するレンズの厚み表を注意深く見ていただきたい。

表の中にブルーの線で囲ったレンズ口径の小さいところを近視性(凹レンズ)各度数で比較した時、お気づきかと思うが「厚み」は、度数や屈折率の影響が少ない事が見て分かると思う。言い換えれば口径の小さい眼鏡フレームに取り付けた時ユーザーが気にするほど大きな厚み差は、現実的には生じないことに気づいて欲しい。度数が強くなれば中心から徐々に変化し周辺部では累乗的急に厚みが増すことが見て分かるであろう。

ユーザーは大きな口径の眼鏡は視野が広く見やすいと考える傾向が強い。しかし中心から離れたレンズの外周部は実生活では使うことは少なく、目線を左右に振ってものを見るという使い方は間接矯正である眼鏡の場合「揺れ」「歪み」につながり、言い換えれば眼鏡の「誤った使用方法」である。

誤った眼鏡の使い方

「揺れ」「歪み」を改善したとする非球面レンズは確かに有用な側面を持つことは否定しないがレンズメーカーが強調する程のものではなく僅かなものにすぎない。ユーザーが訴える「揺れ」「歪み」の問題は眼鏡の誤用に起因する場合がほとんどである。

 

レンズ厚み表
レンズ厚み表

遠視性レンズ(凸レンズ)の場合

凸レンズは、既製品のレンズの場合、中心部で厚みが生じているためレンズを厚みを変えることは物理的に不可能である。では厚みを減ずるには方法がないのかと言えば有る。別注によりレンズ口径を小さくし薄く研磨する以外に方法がない。したがってコスト的に既成の凹レンズと異なり別注のため費用が高くなる。

 

厚みの問題よりもっと大きな問題

上記の例からも厚みの問題を解決するより、むしろレンズ外周加工を削りっぱなしの白い「切削痕」を残してゴースト(渦)を生じさせるほうが相手から見られた「レンズの厚み感」を強調し見栄えを悪くする場合があり、レンズの薄さを必要以上に強調しリクエストすれば逆に色収差による見て不快感があり重たく割れやすい「鉛ガラス」を選択し後悔する場合が少なくない。

もし厚みを気にされ幾何学的なレンズの厚みを薄くしたいのであれば、メガネフレームのレンズを取り付けるリム部を必要最低限40㍉以内の小さなフレーム選択すれば自然レンズの厚みは薄くなる。出来ればプラスチックレンズであれば外周部を研磨すれば渦が立たなくなり厚み感を緩和することが可能である。

「ウスカルフレーム」の売りと特徴は、単純な上記原理というか「フレーム口径が小さい」ものに過ぎず、そのようなものは探せば巷でどこでも購入可能であろう。

加えて留意すべき点として、フレーム装着時、フレーム上目の中心が左右それぞれの中心に位置するようなフレームを選択すれば、レンズの厚みは自然薄くなる。この点を留意すれば良い。

フレーム選択と目の中心位置
フレーム選択と目の中心位置




 

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