チタニューム物語
メガネフレーム材質
ご存じですか
眼鏡素材で チタン とか チタニューム とか言われますがどんな素材か ご存知でしょうか? チタニューム物語
チタニューム物語
今日ではメガネ枠素材のチタニュームは一般化されているがその生い立ちや特性があまり知られていない場合があるので説明を試みてみます。
チタニュームの生い立ち
チタニュームは1790年、イギリスの海岸で鉱物学者のウィリアム・グレコーにより発見された。採取された磁性のある黒色の砂の中に新しい金属元素チタンが眠っていた。
名前の由来
チタンという名はギリシャ神話でオリンポスの神々との戦いに敗れ地底深くに封じ込められた巨人「タイタン」の話から、長い聞地中に埋もれていたこの新しい元素を 「チタン」と命名した。
発見
チタンは長い間、純度の高いものを取り出すことができず、工業生産が始まったのが、発見から約1世紀半経った1946年だった。 その後、チタンの物理・化学的性質が明らかになるにつれて、「タイタン」の名にふさわしい有用性の高い脅威の金属であることが判明。
精錬方法
チタンは地球上で、アルミ、鉄、マグネシウムについで4番目に多い実用金属である。精錬工程のほぼ全てが真空またはアルゴンガス中で行われ精錬の途中で液体に成るという特異な過程を経て出来上がる。このため、チタンの価格は鉄の10倍、アルミの約5倍にもなる。
メガネフレームとチタンの相性
金属フレームの材料に要求される4大要件:軽い 強い 錆びにくい アレルギーを巻き起こさない
代表的な特性 | ||||
金属フレームの材料に要求される特性 | 軽い | 強い | 錆びにくい | アレルギーを巻き起こさない |
チタニューム特性 | 軽い | 機械的強度が高い | 化学的に安定 | アレルギーを起こさない |
金属フレーム材料比較
チタン(Ti合金) | 洋白(Cu合金) | モネル(Ni合金) | |
軽さ(比重) | 1.0 | 1.9 | 2.0 |
強さ(比強度) | 1 | 0.2 | 0.3 |
錆び(耐食性) | 錆びない | 錆びる | 錆びる |
金属アレルギー | ほぼない | ある | ある |
※Ti(チタン)洋白比強度:密度あたりの引つ張り強さ
軽さ | チタンは他の金属材料の約半分の比重。 |
強さ | フレームは部品ごとに要求される特性が異なるため様々な種類のチタン材を使用し、調整し易く型崩れし難いフレームに仕上げる必要がある。 |
耐食性 | アレルギーにも関係するが、チタンは表面に強固な不動態皮膜(酸化膜)を形成し、汗に含まれる塩分や酸・アルカリ等を遮断し、通常環境で錆びることはない。(海水や温泉に浸けても変色しにくい) |
アレルギー | 上述の不導態皮膜がチタンイオンの流出を防ぐため、人工骨や義歯等に使用されるほど生体適合性に優れていますのでアレルギーの心配が貴金属類金よりも少ない金属と言われている。 |
チタニューム表面処理
NASAが開発した超硬質メッキ・イオンプレーティング
イオンプレーティングはチタニューム枠に多用される表面処理である。マルマンがチタノスフレームを開発するに当たり、付加価値と耐久性=ブランド性のため最強の表面処理を模索する中で見出したのがイオンプレーティングであった。イオンプレーティングとは、真空蒸着法すなわち宇宙に近い真空を窯に作りその中で金属などを溶融・蒸発させて対象物に露結させる手法を指す。
イオンプレーティングの古くはガラスレンズに真空蒸着させ光線透過率を高める方法などであったが、更に近年イオンプレーティング技術は1960年代にアメリカ航空宇宙局NASAで開発された表面処理技術であり、強靭な耐摩耗性からアポロ計画の月面車の表面処理に使用された。
フレーム表面処理性能比較
密着性 | 耐摩耗性 | 耐傷性 | |
塗装 | △ | △ | △ |
メッキ | ○ | ○ | ○ |
イオンプレーティング原理
イオンプレーティングは高真空の中でチタンや窒素等をプラズマを通し反応させ、そこで得た反応物窒化チタン(TiN)をフレームに高速で衝突・付着させ強固な皮膜を形成する。
この衝撃により通常の液相電着金メッキなどに比較し非常に高い密着性を保っている。
また、皮膜には窒化チタン即ち極めて硬い非金属化合物(セラミック材)を形成しているため、硬さはビッカース硬度2400で金メッキの約10倍の硬度を持ち無毒でアレルギーの憂慮が少ない。
眼鏡枠はただ強いだけでは眼鏡枠にならない
用途・目的に応じ部分により強い強靭さが必要であり、調整時柔らかく人の特性に合わせ曲げやすい性能が求められる。その為各部において適切な素材使用が必要である。
一方、丁番などにおいて、チタニューム同士摺動し擦り合うと摩耗が大きいため特殊なワッシャーを介して組み上げられる必要がある。
(マルマン チタノス物語より一部抜粋)
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