【実施例190705】急に複視になっても慌てない
急な複視は治る場合がある
健常な人が突然複視になり慌てて来店されるケースがよくある(入院中の患者さんがこっそり家族と一緒に抜け出してご来店等、見るもの全てが二重に突然見え、こんな見え方がいつまでも続くのか?誰だって恐ろしくなります。)
慌てないでほしい
プリズム矯正で一つに見えるように出来ます。しかしすぐになんとかしようとするより冷静・慎重になられる方が望ましい。すべてそうだとは言えない。しかし過去の事例から言えば突然このような症状になった場合本人の驚きは大変大きくたちまち生活に差し支えが生じる。
突然ダブる場合は治る場合もある
突然複視になった場合、治る可能性もある。実際そのような事例を過去に数多く見ています。本当に二重に見える場合でも大丈夫です。程度によりますがプリズム矯正でちゃんと見えるように出来ます。
ストレスは確かに大きい
ご本人同様当方もストレスの大きい複視がプリズム矯正眼鏡を掛けず消失することが望ましいし、我々もそう願っています。
今回ご相談の有ったケースはプリズム矯正するかどうかは、経過観察中で今後の変化を見ることにした。しかし突然複視になり困っている方々へアドバイスと参考になえばと願い筆を執ってみる。
ユーザー
大阪市ご在住 80歳代 男性
主訴
こんなふうに見える(ユーザー持参の写真による説明)
伺ったお話の要点
○ 2019年2月初旬から3月にかけ白内障人工水晶体挿入術をした。
疑問や今の見え方について持参されたメモ書
経過
3月6日 検眼終了(洗髪・洗顔可) : 術後の洗髪・洗顔の許可
5月17日 起床時異常を感じる :モノが下記写真のように見えた
5月18日 眼科 眼鏡店に行く様に :眼科から眼鏡店に行くように指示された
5月20日 眼鏡店でプリズム不可 :眼鏡店ではプリズム眼鏡が出来ないと言われた
5月20日 眼科 :眼科へ報告
6月5日 内服薬2種 :眼科からサンコバ(ビタミン12)
6月19日 内服薬2種 :同じ処方
7月3日 処置決定か? :眼鏡処方
経済面での質問
「白内障手術に依って生じたと思われる複視・斜視等について、プリズム眼鏡等の出費は保険対象になるか。可否
遠用(車の運転等)読書用(PC等)2種類が必要になるか。保険対象可否。
二種類各各の想定価格。」
回答
1)複視が生じた原因は当方では分からない
2)プリズム矯正は両眼合わせて5.00⊿プリズムディオプター以上であれば「特殊眼鏡」として医療費控除の対象になる。
3)白内障人工水晶体手術により、挿入される人工水晶体には調節力の無い単焦点である。65歳を過ぎた目、言い換えると既に年齢的に調節のない目でさほど大きな変化はない。ただし調節が無いので遠用と近用の眼鏡は必要。
4)目的用途により眼鏡価格は、異なり。垂直方向に度数の変化のある、すなわち調節力を補う累進屈折力レンズもあるが経済的事情が許すならば便利なレンズがある。
「眼科 眼鏡店に行く様に」は理解し難いメモ書きで理解に苦しみ誤解と思うが・・・それはそれとして
「眼科からメガネ店に行くよう」言われて行った
天六の眼鏡専門店で「眼鏡対応ができない」と断られたという。おそらく写真の画像が回旋しているのを見て矯正不能な「回旋斜視」と考えたと思われる。しかし今までの経験では複雑斜視が原因でこの様に斜めに見える場合が多く、複合斜視矯正で解決している。
検査した所、垂直と水平の斜視が検出され。矯正可能な斜視によるものと判断。
実装してみて安堵
測定後テストフレームでプリズム仮矯正を行った。問題を訴えていたストレスのある見え方は消失し過去のようにダブらず見える。安堵され表情が明るくなった。
片目だと階段の上り下りが怖い
訴えていた歩く時少し離れたところが2重に見えたり、いびつに見える(加齢黄斑変性症を疑った)ため階段の上り下りなど怖いため、片目で階段を上り下りしていたと言う(他の簡単な方法として片目に眼帯をして済ませているケースもある。しかし大切な両眼視機能の「距離感」が奪われる)。
実装し歩行テスト
テストフレーム装着し歩いてみさせた所、以前の通り違和感なく上り下りできそうだというので実際に歩かせてみた。反応は「モノがハッキリとよく見え、従来の生活が取り戻せそうだ」
眼鏡処方
7月3日眼科処方持参。
当店検査
本人の自覚としては何も変わっていないが眼科から「斜視が前より少し良くなっている」とのことで当方測定で徐々にプリズム量の改善
○ 6月26日測定
上下プリズムが左右合わせ5.50⊿
○ 7月3日再測定
上下プリズムが左右合わせ 2.00⊿に減少、良くなって来ている。
処方箋追記事項
眼鏡処方には、プリズム矯正なく眼鏡を作り、以後経過を見て必要があればフレネル膜を貼るかも知れないという言及がされていた。
メチコバール(ビタミン12)
よく見えるメガネを掛け、処方されたメチコバール(ビタミン12)服用により、眼外筋が正常に機能すればプリズム矯正を必要としない場合もありうる旨の説明。また眼科から眼外筋を動かすリハビリを提案されたとのことで、軽快する可能性がある。
この結果、眼科処方通りの眼鏡を作ることで了解した。
メチコバール(ビタミン12)は突発性斜視の患者が脳外科や眼科専門医から処方され劇的に改善(軽快)したケースを多数見ている。但し勝手に服用するのではなく、高血圧や脳内出血などの場合等専門医とよく相談して服用するか十分相談の上決めること。
度数
人工水晶体挿入術眼への眼鏡処方
右 S-0.25C-0.75A120 (近視性乱視)
左 S±0.00C-1.00A100 (単性乱視)
瞳孔間距離 61.0mm
違和感が強く使ってこなかった購入したてのフレームを使用したいとの希望で、そのフレームを使用することにした。使用中のレンズ上に目の中心を再測定した。グリーン線の交点が新たな目の中心でここへ度数などの眼科処方度数を合わせた。
レンズ加工の欠点
以前の眼鏡で気が付いた点 中心があっていない
赤線の交点:レンズの光学中心
緑線の交点:測定された瞳孔間距離
この眼鏡の違和感はレンズの中心と目の中心が不一致によるものと考えられる。但しプリズム矯正を意図したレンズではない。いずれにせよ人工水晶体挿入術後、目の度数は変わり前のレンズは合わなくなるのが普通である
度数
因みに使用中のレンズ度数
右 S+0.50C-1.00A97
左 S+0.75
PD:70mm
目の中心測定
作り直した眼鏡
1)誤った瞳孔間距離
瞳孔間距離是正: 70mm を61mmへ変更
2)度数
右 S-0.25C-0.75A120 (近視性乱視)
左 S±0.00C-1.00A100 (単性乱視)
瞳孔間距離 61.0mm
結論
複視に対するプリズム矯正は、必要であればいつでも行えるので慌てない。眼科専門医の指示に従い経過を見るという流れで経過観察中。
色々ご指導していただきありがとうございます。今では昔のようによく見えるようになりました。
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