head_img
head_img

無水晶体眼のカナダのお客様

2019年9月24日

無水晶体眼のカナダのお客様

カナダから眼鏡がどうしても快適でなく困っているということで来日し眼鏡の注文。事前にメールで打ち合わせなどを行ってきた。

ユーザー詳細

カナダ・ウィニペグ在住 女性 42歳

先天性白内障による無水晶体眼、慢性蓄膿症、接触過敏症 (無水晶体眼=疑似調節力を持つ場合もあるが基本的に調節力はなく通常+3.00加入が必要)

カナダ眼科処方箋データ (強度遠視性乱視)

OD SPH +12.50  CYL -1.50  AXE 65

OS SPH +14.00  CYL -1.00  AXE 155

矯正視力:右が20/30   左が20/70 

 

来店動機

ユーザーは日本人の友人に、自分に適する眼鏡に巡り会えず日頃困まっていると相談していた。日本人の友人が当店サイトを閲覧し当初の目的は慢性蓄膿症による接触過敏症言い換えると眼鏡が重たく鼻の特定の痛みを覚えないよう軽量化する事であった。軽量化とフィッティングは解決できるのでなかろうと友人(日本人)と一緒に来日し来店された。

これまで使用してきたコンタクトレンズが目の異常で使えなくなったため、眼鏡を使用せざるを得ない状態であるとのこと。

 

軽量化のためにはフレーム形状を小さくする必要があり可能な軽量化可能な下記写真のフレームを提案した。このようなフレームを使用しレンズを薄く仕上げれば総重量17g程度の仕上がりが可能である。

しかし思い込みと持参したプラスチックフレームにこだわりが強く希望した処方通りの単焦点レンズをはめることになった。できるだけ軽量化を図り指示されたカナダ眼科処方により滞在中間に合うよう迅速に眼鏡制作した。改善点は1)できる限り薄く軽くレンズを作り、2)レンズ外周部の白く残る切削痕を透明に仕上げ3)適切に目の中心にレンズセンターを合わせる事等にあった。

フレーム提案
フレーム提案

来店時のユーザーの説明では慢性の蓄膿症を患っており、鼻への負担を軽減するため眼鏡軽量化を希望していた。ユーザーはこれ以外各種成人病を患っており、眼鏡の耳掛け部分など繊細な調整を希望し調整を加え、主題とする軽量化とフィッティングに関しては当初満足得た。

 

問題発生

眼鏡装着後数日はこれまで使用してきたコンタクトレンズと大差なくよく見えたが通常使用して来たバイフォーカルの眼鏡の見え方と異なる。これからも日常バイフォーカルを使用する必要と新しい眼鏡の併用に自信が持てずキャンセルを暗に希望していたので快く代金を全額返金しキャンセルを申し受け互いに納得し終了ということにした。

問題の生じた理由

当初の注文要旨、すなわち眼科処方に基づく眼鏡軽量化は希望通りで当方に落ち度は無いが、問題は以下写真の使用中の「バイフォーカル眼鏡2種」に問題が有るように考える。

1)無造作に作られた眼鏡は近見用のバイフォーカル部を通常のレンズ遠用ポイントより10ミリ程度下げた位置に配置されて作られていた。当初違和感があったという使用中の眼鏡は、持参した処方箋が正しので有れば作られたバイフォーカル眼鏡を11年間も使用し、遠用中心の合わない眼鏡に慣れて斜視が生じたと考えられる。ユーザーは中心の合わない眼鏡に慣れて後天的斜視になったと…オプティカルショップの不注意か?

 

アイポイト上で生じているプリズム度数の測定は、処方箋通りを希望するユーザーに敢えて考え測定しなかった当方の落ちどか?カナダのオプティカルショップにより斜視矯正がされたかどうかユーザーは知る由も無く告知もなかった。

2)今回正確に目の中心に合わした眼鏡には処方にプリズムに対する言及がされておらず、使用中の眼鏡の詳細と眼科処方箋とは全く異なる。

 

問題の原因と思われ生じているプリズム度数を測定し、現在使用しているプリズムの生じた眼鏡と同じプリズムを時間を掛け合わせようか・・・とも考えた。しかし残念ながらユーザーが遠路カナダからの来客で、日本滞在時間に余裕がなくプリズム矯正で解決を図りレンズ作り直しには到底時間的に間に合わず止む無く諦めた。


処方箋に従って作った眼鏡

総重量 39.5g (フレーム20.6g)

アイポイント測定
アイポイント測定

 

 

加工前のレンズと持ち込まれたフレーム
加工前のレンズと持ち込まれたフレーム

レンズ外周部は削りっぱなしにすると厚み感を強調するため、全外周部を鏡面研磨し透明に仕上げた。

レンズ加工ご取り付けた状態

上部からレンズはフレームからレンズがはみ出しているが、レンズ外周部を鏡面研磨により透明したため厚み感が軽減されていることがわかる。

フレーム上方から撮影
フレーム上方から撮影

 

フレーム下方から撮影
フレーム上方から撮影

最終精密調整前、装着レンズ中心は目の中心からみて少し上下している。後に調整済み。

装着直後の目とレンズ中心観察
フレーム上方から撮影

 


使用中のバイフォーカル眼鏡2種

下記眼鏡は時期は異なるがカナダの同一店で作られたもの。

1)総重量 48.2g

左側レンズ中心は内側下方へ落ちている。右レンズ中心は内寄りで下方へ落ちている。

度数 

右目 S+12.75C-1.50A64

左目 S+14.25C-1.00A154

使用中のバイフォーカル1
使用中のバイフォーカル1

後日写真から推測して、左目はベースイン 9.00~10.00⊿程度ではなかろうか、すなわち左目だけ外斜視矯正とも考えられないことはない。

しかし処方は

OD SPH +12.50  CYL -1.50  AXE 65

OS SPH +14.00  CYL -1.00  AXE 155

矯正視力:右が20/30   左が20/70 

だけであった。

2)総重量 41.9g

右レンズ中心は外へ外れ下に落ちている。左レンズ中心は上記のものより少し下方へ落ちている。

度数 

右目 S+12.25C-1.50A61

左目 S+14.25C-1.50A154

使用中のバイフォーカル2
使用中のバイフォーカル2

 

またユーザーが持参した処方には瞳孔間距離表記がなく(カナダではオプティカルショップに任せられているとユーザーの話)プリズム度数は表記されていなかった。


結論

新規に当店で受注したメガネを掛けて生じた違和感は、先天性白内障による水晶体全摘手術を受けた無水晶体眼、言い換えると強度レンズの取り扱いは細心の注意を払わなければならず些かでも中心が狂えばユーザーを後天的斜視に至らしめ、以後ユーザーはどこのオプティカルショップを訪れるようがどこでも目に合わない眼鏡と遭遇するはめになる。実際にこのユーザーは常に眼鏡を作るたびに目に馴染む見やすい眼鏡を得れなかったと告知していた。

眼鏡のレンズ中心を正確にユーザーの目の中心に合わせなければユーザーを惑わせる結果に至らしめる。カナダのオプティカルショップが強い度数による発生するプリズムへの配慮がなされたのかどうか不明である。

過失による誤った制作による眼鏡に慣れてしまったのか?或いはオプティシャンが意図的に合わせたプリズム矯正なのか時間の都合上測定できなかった。このような強度レンズの場合、光学中心とユーザーの目の中心不一致はメガネユーザーへ強い違和感が生じその弊害は極めて大きい。

このケースでは、時間の都合上視力検査やバイフォーカル眼鏡の検証を行えなかった事やユーザーの笑顔見れなかった事が悔やまれる。





 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ページトップに戻る