子供メガネ眼位測定とその補正 

子供メガネ眼位測定とその補正 

アイポイント測定

アイポイントを取る時、子供の集中力が途切れるためお菓子や関心のある縫いぐるみやおもちゃなどで釣ろうと試みたり・・・

しかし、じっとしてくれないのが当たり前の幼児、眼位測定すなわち目の中心を眼鏡フレーム上に正しく捉えるのは、実に難しい。


ユーザー

三歳女児 奈良県ご在住

目のタイプ

遠視性乱視 不同視 (右眼:複合斜視 強い下斜視) デュアン症候群

 

眼部撮影観察、右眼に複合斜視

眼部撮影観察、右眼に複合斜視

 

目の中心位置測定

測定を誤らないよう写真撮影をさせていただき、画像から補正を行ったケース。特に左右の度数差が大きい不同視の場合、誤った眼位測定に拠る眼鏡制作は、物言えぬ小さなユーザーに苦痛と弱視治療に差し支えをもたらしてしまう可能性があり細心の注意が必要である。目の位置を測定もせず、「処方箋と眼鏡フレームを決めれば済むと考え」何も考えずメガネを作るバカな真似する眼鏡店が多く困ったことである。

子供の手をひねるような真似する眼鏡店

レンズ中心は透明でユーザーや保護者にわからないからこのような馬鹿なことがまかり通っている。ユーザーは説明力に乏しい幼い子供である。正に幼い子供の手をひねるような真似である。

 

レンズ予定中心位置補正

レンズ予定中心位置補正

アイパッチ

視力が思うように上がらない右眼、よく見える左眼をアイパッチ(メガネ取付式)で片眼遮蔽する弱視治療の真っただ中、度数を新たに処方され、少しお顔も大きくなったため一サイズ上のフレームを使い新しい度数で新調する過程を捉えています。


処方箋

度数

右目 S+5.00C-2.75A40
左目 S+1.00
瞳孔間距離 52

測定されたアイポイント位置座標

PD         高さ
右 25.0  14.5
左 27.0  15.5(単位mm)

 

目に見えない光学中心

人は多様性に富む天然であり、工業的左右対称に作らた眼鏡枠を掛けた時、予定する左右の光学中心位置は主になる子供の目の位置を中心に合わせレンズ外周加工により合わせる。しかしここで問題にするレンズの光学中心は目で見えない特性「透明」である。眼鏡について分からない殆どの親や保護者の関心は、無駄にフレームが似合うか・可愛いか?などに集中してしまっているケース多い。

おそらく素人考えでもレンズ光学中心が目と合わされているか?の疑問を保つ場合があるが、殆ど100%眼鏡屋任せ。「百貨店で作れば信用がありそうだから大丈夫だろう」である・・・裏切られている場合が少なくない。

巷にあふれる眼鏡店の多くが、一番下手くそでできていない由々しい事実の一つがこの「中心合わせ」である。眼鏡店は「目に合わせた」と言うだろうが、親や保護者は中心を確認する機会がないなかんずく関心を寄せ確認すべき大切な点」は目とレンズ中心一致の「確認であると言って過言でない。

あなた方が求めようとするレンズ特性は「透明」である。小さなユーザーや保護者に対して「商品透明性が全くない」代物である。メガネフレームに取り付けられたレンズ中心にレンスメータで中心を印点させ、あなたの目で確認する以外方法がない。目に合う合わないの事実確認に眼鏡店店員が持論や異論を挟む余地はない。

次のような問い合わせがよくある。参考掲載・・・残念だが、似たような問い合わせが本当に多い


参考 別のお客様からのメールお問い合わせ

メール抜粋

「目の中心位置の測定などは皆無でした。店員さんは

娘にフレームをかけて前から見て、この位のサイズですね。と3分程度で決まりました。こんな簡単な評価方法で決めて良いのかと夫婦で不安を持ちました。これでよいのでしょうか?

あまりに不安だったもので、眼科から再受診することになり、他院で弱視治療の症例数の多い小児眼科の院長先生にセカンドオピニオンを頼みましたところ内斜視も追加で判明しました。

現在、麻痺点眼を1週間かけて点眼中です。メガネ店からは処方箋が出たら、メガネ店にFAXでよいと言われました。メガネ店ではフレーム枠を選択済みなら、眼科医の処方箋だけで、本人がいない状態で大切な治療用メガネを作れるものでしょうか?メガネ店への不安も出てきています。」

 


さて本題に戻り

 

レンズレイアウト図面

レンズレイアウト図面

 

既成レンズと別注レンズの厚みと重量の違い

既成レンズと別注レンズの厚みと重量の違い

 

右の遠視性乱視レンズは、既成レンズを使用するととても分厚く重たくなる。このような度数差がある場合左右の重量バランスが極端に悪くなり眼鏡装着後重いレンズ側は下にずれ下がる憂慮がありこれを防ぐ意味からレンズ製造時の製作指示を行っている。

重量比

このケースで、左レンズは遠視性乱視のため通常品であれば
7.1gだが別作により3.1gまで軽減することが出来た。右3.1g 左2.7gで左右ほぼ同等重量(総重量5.8g)のため片側が下がる憂慮なく仕上がっている。

通常であればレンズ総重量は10.2gが5.8gの仕上がった為約半分で済んでいる。

左右の重量差を少なくする方法

上記設計図から分かると考えるが、フレームのレンズ口径はできるだけ小さめにすること。左右の仮レンズを見てできるだけレンズの中心に黒目の中心が来るフレームを選択すること。

左右レンズの出来上がり写真

厚みや質感など左右差が少なく上がっているのが分かる。

 

左右レンズの比較
Lens thickness compared
側面から見たレンズの厚み差

フレームは必要最低限小さく

フレーム形状を小さく選択すれば、自然左右差は小さくなる典型的な例。

 

左右レンズの厚み比較

左右レンズの厚み比較

Comparing lens thickness on right & left. It found almost same.

 

ナイロン樹脂フレーム

 

子供眼鏡出来上がり概略

子供眼鏡出来上がり概略

Schematic of completedChildren Glass.

 

解り難いかもしれないが右左で大きな度数差があり、右側レンズ(写真左側)は度が強いのが分かる。

 

度数の左右差を見ることが出来る

度数の左右差を見ることが出来る

It is able to see the power difference on right & left.

右レンズ(この写真では左側)は、フレームリム内に収まっている。

 

右の度数は強いが目立たなくなっているのが分かる

右の度数は強いが目立たなくなっているのが分かる

The right Lens have strong power but inconspicuous.

 

定期点検の重要性

目に害を及ぼすズレ

このような左右の度数差が大きい不同視の場合、眼鏡全体がずれ下がるだけで害になるな上下プリズムが簡単に発生する。

レンズ重量をできるだけ薄く軽くし、併せてフレーム重量を軽いフレーム選択して総重量の軽減を図り、万有引力でズレ下がるのを極力防ぐ対策を講じた。

 

仮にズレたら

仮に10mmズレ下がった場合、球面度数からみて約4.00プリズムが上下に生じ、おそらく子供は強い違和感からメガネ装着を忌避する。
単にメガネを軽量化しズレ下がりを防止するだけでは不十分で有ることをご存知だろうか?

 

定期点検の重要性

日常或いは定期的点検が必要なのは言うまでもない。

保護者は、子供の掛けているメガネのズレ下がりに気づかない場合が多い。次の自覚検査方法でズレを日常検査して欲しい。

 

星野式ワンハンド検査法

星野式ワンハンド検査法

レンズはどの部分でもどこを見ても同じように見える?

大きな誤解、よく保護者から聞く話として「レンズはどこを見ても同じように見える」と言うような理解をしているケースが後を絶たない。

 

レンズには一点の光学中心がある

レンズに度数が入れば必ず1点の光学中心が生じる。レンズ光学中心をそれぞれの目の中心に合わせなければならない。中心が合わないと強い違和感を生じさせる。幼い子供は目が痛いなど説明ができず眼鏡を忌避するのは自己保存本能であり咎めるわけには行かない。

 

ズレ下がるだけで生じる苦痛

上記のような不同視の場合、眼鏡がズレ下がるだけで小さなユーザーに意味不明な苦痛をもたらし、眼鏡を掛ければ常に逃げようのない得体の知れない苦痛や頭痛を体験することになる。

 

合わない状態を続けると

斜視になる

このような状態が続くと予期せぬ後天的上下斜視を形成する原因になる。一旦上下斜視になってしまえば取り返しはつかない。斜視になってしまうと以後上下斜視矯正されたメガネが必要となってしまう。

 

予防のための定期点検

ここにメガネの持つ危険な側面と副作用が有る。これを予防するために点検調整が必須である。

問題の重要性と、我々従事者は倫理観や良識を持ち対応する必要がある。単に処方箋通りに作り対価を得れば済む問題では、決してない。
安易に、安い・格好がいいなどとユーザーの希望に単純に迎合するのも疑問を感じる。眼鏡の品質は目で見てわからない人の質が関与している。

 

保護者の心構え

保護者は問題の核心や情報・知識を得て、自分の子供は自分で守るくらいの覚悟と意識が必要。まして、子供の3~6歳までの限られた期間に、正しい眼鏡で正しい視覚刺激を黄斑中心窩に生じ得る眼鏡はかなり注意が必要である。弱視治療とは、脳にものをものとして認識できる視能=ソフトをつくり上げる時期、ファッションとか激安とか安いということは論点から離れた課題である。価格に関わらず当然な権利として品質が共存するなどと甘く考えるのは、希望的観測に過ぎない。

処方箋が有りどこで作っても同じように作れる安心材料と思うのも、我々の目からすれば危うい。

 

弱視治療とは子供の将来を形作っているのに等しい

保護者と我々がやろうとしていることは、親の一時的な懐具合の話でない。生涯に一度だけしか無い治療期間に弱視治療を行う用具を求める事で、よく考え・注意し購入など行動をされることを願いたい。

後で「取り返しの利かない時間を無駄に過ごした」と後悔しないように・・・

 

結論

レンズの何処の場所から見ても同じように見えると考えるのは大きな誤解・間違いの第一歩。不同視弱視の場合、ズレ下がるだけで本人は理解の出来ない苦痛をもたらす場合があること。

中心などの合わない眼鏡を掛ければ常に逃げようのない得体の知れない苦痛を強いることになる。長く続けると予期せぬ「後天的上下斜視」を形成する原因になりかねない。一旦上下斜視になってしまえば取り返しがつかないだけでなく新たに弱視原因の斜視を形成してしまうことになる。同時に弱視治療は遅れる。これを防ぐため眼鏡店や眼科での定期的点検は必須である。

眼鏡店は、単に処方箋通りに作り対価を得れば済む問題ではない。処方箋通りであっても、身体的多様性に富む子供に眼鏡を掛けさせた時、目と合っていない「別物」ということが多々有る。

安易に、安い・格好がいいなど見かけや経済性を追うのも自由だが子供の生涯で一度だけの治療のチャンスをどうするか落ち着いて考えて欲しい。親はメガネを掛けることで起こりうる副作用など用意周到に情報・知識を事前に得て、「自分の子は自分で守る」くらいの覚悟と認識が必要。

子供の3~6歳まで限られた期間内に、正しく調整された眼鏡で視覚刺激を黄斑中心窩に生じさせ、脳にものをものとして認識できる視能=脳にソフトを作る=弱視治療時期、激安とか安くても価格価値と品質が当然共存すると考えるのは、親の単なる希望的観測に過ぎない現実が有る。子供の目に影響のあるものの購入である。

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