子供メガネ絶壁のお鼻に
レンズを軽くする理由と工夫
大阪市内在住 4歳 男児
目的:弱視治療
遠視性乱視、少し乱視が強め
処方箋
右 S + 4.50C - 2.50A180
左 S + 3.50C - 2.50A180
瞳孔間距離 52mm 13.2g
工夫
レンズを軽く薄く明るくとは、裏に余り知られていない密かな製作者の期待と工夫が凝らされているのをご存知でしょうか?
「軽く」というキーワードには、未発達な子供の顔、総じて鼻が絶壁になっていることへの対策です。重たければ万有引力の法則に従って眼鏡はずれ下がってしまう。
これだけにとどまらず、度数に左右差があれば光学中心がずれ下がることにより、プレンティスの法則による、左右に不必要なプリズムが生じ、右左で見る高さが異なって見える。この場合は大した差はありませんが、常に子達の目の中心をかなり厳密に測定しています。
(余談、左右の目の度数の差が大きい場合このような事が大人のメガネで生じた場合、大人すら説明の難しい強い違和感は訴えることで防止できても、子供の場合与えられるまま分からずそのまま使用する。このような状態が生じれば、網膜の中心すなわち黄斑中心窩に良好な視覚刺激を起こさせないため弱視治療が遅延する原因となる。)
レンズを薄くすれば明るくなる
「薄く明るく」とは、レンズメーカーはよくレンズ基材の質によりレンズの明るさの指数アッベ数を自慢するが、レンズの厚みを薄くするほうがアッベ数云々より遥かに光線透過率を高めレンズを明るくする効果がある、故にレンズを薄くする。
ドラマティックな効果とまでは言えないが、少なくとも良好な視覚刺激を促進させるためにレンズの明るさも一つの要素になります。
お鼻の絶壁対策
重量が生じやすいレンズを薄くすれば軽くなりお鼻の絶壁対策になります。加えてフレームの鼻パッドは、シリコンラバーのため摩擦係数が高く滑りにくいのと併せて相乗効果があります。
レンズ設計図(厚み)
上の数字は改善された厚み 下の数字は普通のレンズの厚み
レンズレイアウト図
フレーム上におけるアイポイント即ち視線経由点はほぼ左右対称であるがこのようなケースは逆に珍しいとも言える、一般的に左右で異なる場合が多い。 目の位置を眼鏡フレーム上において測定したかどうかが要、ここで決定的な違いが生じる。
反射防止膜
レンズ表面は、高品質の無反射コートが施されており、像の映り込み=反射が少ない
フレームからレンズのはみ出しの有無
レンズはフレームのリムからどこもはみ出しがないのが分かる
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