米国の乱視処方

 米国の乱視処方 米国(カリフォルニア州)処方箋の 乱視度数表記 

Have a Nice Summer in Japan.

 

強度乱視、極端な不同視、眼鏡軽量化、メガネフレームズレ下がり防止

カルフォルニアご在住 6歳 女児  

写真使用はお母様のご了解を得ています。

乱視度数の表現方法

当サイトが時々海外居住の日本人の皆様やお子様のメガネについてご高覧頂き当方の取り組みに高い評価をいただき恐悦至極です。

このケースでは、乱視度数の表示方法についてご相談された最寄りの眼鏡店で乱視表示が1度ステップなので日本と異なり誤りで無かろうかとの指摘を受けご相談をうけました。正直な所当初我々も時々外国の眼科処方箋を持ち込まれ過去には少し違うなぁと感じました。

この乱視の軸表記に関しては、強度乱視例えば乱視度数が約3度から5度以上の強度乱視の場合、軸度が日本の5度ステップ表記よりかなり詳しく測定された場合ありうることです。細かい1度ステップで見え方が変わることは経験上ありうることでした。同様のケースはカナダの処方箋の場合にもありました。基本にするべきは被検者の見え方に置くことで、些かの疑問を挟む余地は無いと思います。

ただし眼鏡のかけ方により乱視軸度は変移します。表現された数値にこだわること無く、ユーザーが正しく乱視矯正され見え方にどう改善できるかが問題です。

米処方箋

米国の乱視処方、処方箋の表記方法はいくつかありますが、どのような表記をされようと出来上がるレンズ度数は同じものです。

このケースの場合、乱視度数をプラス表記してありますが、一般的な日本の眼科の乱視表記はマイナス表記が多く、乱視軸度は5度ステップが多い。

度数の特徴

処方箋には眼鏡矯正のために度数が書かれていても、更に内容を読み込み何に留意し注意を払わねばならないか洞察力が必要になります。このケースで一番注意せねばならない点は左右のレンズタイプが右が遠視性乱視で(球面と乱視を差し引きした等価値はゼロに近く)左が近視性乱視であることと、極端な度数の差がある点。左右レンズの球面度数差は、約7.00である。

右 S-2.00 C+5.00 AX 85  一般的な日本の表示法→ S+3.00 C-5.00 AX 175

左 S-9.00 C+5.25 AX 92  一般的な日本の表示法→ S-3.75 C-5.25 AX 2

PD:54mm

対策

このような度数の差が大きい場合、命題として1)可能な限りレンズ光学中心をユーザーの見る方向に正確に合わせ、2)日常の使用で眼鏡がズレ下がらず中心の狂いが生じにくいいことにある。

そのために必要なことは、眼鏡重量が可能な限り軽くしずれ下がらないようにしなければならない点にある。いささかでも目とレンズの中心が合わない、保護者等単純に眼鏡がずり下がっただけと見過ごされやすいが、ずれ下がれば容易に上下プリズムが生じユーザーは強い違和感を覚え、放置していると予期しない後天的な上下斜視を形成する恐れがある。

結論

そのため軽量なフレームとレンズが必須条件になる。装着するフレーム上、厳密にユーザーの視線位置を捉える作業は言うまでもなく必須条件になる。

使用中の眼鏡

使用中の眼鏡 同度数 総重量 17.6g

使用中の眼鏡

使用中の眼鏡

新しいメガネ枠

アイポイント測定直後の撮影 トマトフレーム

アイポイント測定直後

アイポイント測定直後

Before & After

可愛らしくなりました。

before&after

before&after

眼鏡枠はお母様も気づかれたように、使用中の眼鏡はのアクセントの強いフレームのためキツイ感じ。

お母さんの説明で、米国ではあまり子供専用フレームという括りや概念が薄いため大人用のフレームからの選択だったと伺っています。

新しいメガネは、色調が顔から浮き上がらず目立ちにくい肌の色に近い透明ピンクフレームを採用したため表情が柔らかく年齢にそうじた可愛い感じになりました。日本では子供専用フレームというジャンルがあります。

1)眼鏡軽量化

レンズを軽量化するため、必要条件としてフレームの形状、視線経由点測定が相互に影響し合います。設計図を起こし、軽量化を図ります。

Lens layout

Lens layout

 

Spec of thickness & weight of Processed Lense

Spec of thickness & weight of Processed Lense

レンズはオンライで直接製造ラインに製作指示され制作。

重量比

新しい眼鏡総重量は14.0g 重量比較で使用中の眼鏡に比べ 約3.6g軽量化。

2)反射防止膜

米国の乱視処方による眼鏡では、このようなRXレンズは表面反射するハードコートが多用されている。

レンズラボ施設に真空蒸着機が少ないためと思われる。このようなレンズは、写真撮影の折フラッシュを焚かれるとレンズが光ってしまい写真写りが悪くなる場合が多い。同時にユーザーがレンズを通し見るときグレアーが生じたり透明度の点で問題が多い。

日本のレンズメーカーは殆ど真空蒸着機を設置しており透過率の高い増透膜を施した表面反射の少ないレンズが主です。ただし良いことばかりではなく、レンズ表面の蒸着膜が指紋などの汚れに対して清浄な部分との差が生じやすいくレンズが清浄に保たなければ汚れた部分は反射が目立ち、見にくくなるデメリットがあります。

いずれにせよ、日本製のレンズは写真を撮影された時レンズ部分で白く光ることがなくなります。

3)レンズ精度

アメリカのレンズ度数精度は少し甘い感じでした。アメリカに負けないよう日本のレンズメーカーに叱咤激励し度数精度を厳格に保つよう特別に指示した面もありますが(笑)・・・注文し出来上がったレンズ精度は処方どおりに上がっています。

レンズ加工プロセス

左右レンズにおいて極端な度数差により、下の写真の通り加工前のレンズは右と左で大きな厚み差があるのがわかります。

加工前のレンズとフレーム

加工前のレンズとフレーム

写真からわかりにくいが、上でも述べたように 右レンズは遠視性乱視、左レンズは近視性乱視で、性質は真反対のものである

右レンズは中心に厚みが出て、左レンズは外周部に厚みが出ます。

 

右レンズ遠視性乱視

右レンズ遠視性乱視

 

左 近視性乱視

左 近視性乱視

 

ズレ下がり防止のため、それ以外の工夫

加工後の概要

加工後の概要

フレームのノーズパッドは摩擦抵抗値の高いシリコンラバーが使用され、イヤーピース(耳にかかる部分)も柔軟性と摩擦抵抗のある合成ゴムが使用されている。

単純に摩擦抵抗だけでなく、テンプル長をユーザーの体に合わせほとんどずれ下がらない調整が施した。これはズレ下がりと左右の度数差により生じる上下プリズム発生を防止する重要な目的を持つ。

外観

強度のレンズの割に左右のレンズ厚は加工後なくなり、リムからはみ出すことがないのが写真からわかる。

厚み概要

厚み概要

 

軽量化されたフレームとレンズ総重量 : 14.0g

実装

 

完成

完成 2018/07/10

ユーザーの声

お母さんの声、「星野さんに来たのは間違いではなかった。以前より表情が子供らしく愛らしくなった。今はよく見えるかして新しいメガネを使っています。」

小さいユーザーの声、「軽く・ずれ下がることなく前のメガネよりよく見えます」

米国に戻られる前にもう一度最終点検を行いました。キュートでとても軽い出来上がりです。

また、日本に来られた折には点検を行いますので、ぜひお立ち寄り下さい。お待ちしております。

指導

中心の狂いを自分の目で知り予防する方法

いつでも・どこでも簡単に目とレンズ中心の一致を確かめる簡易かつかなり精度の高い自己チェック方法の指導。

星野式ワンハンド検査法

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