【190827実施例】オクルア遮蔽レンズ
遮蔽レンズ
遮蔽レンズは各社各様の名称で販売されている。このようなレンズは、複視(物がダブって二重に見える)が酷い場合両眼視を止め片目だけで見えるようにする目的のレンズである。分かりやすくは、物がダブって見えるため片眼を見えないようにする目的の「擦りガラス」と理解してもらうとわかりやすい。両眼視機能を保つ斜視矯正に比べると簡易な方法で眼位が特定しにくく変位しやすい場合など有効な方法である。
何かを得れば何かを失う
しかし両眼視機能が奪われるので「立体的にものを見ることが損なわれ」「平面的に見える」などの欠点がある。眼科の装着テストで片眼遮蔽で日常生活で使えそうかどうかあなた任せにせず、しっかりと使えるかどうか検査員に伝える必要がある。
眼科指定
今回は、眼科指定で東海光学の「オクルア」使用が添え書きされていた。同社は遮蔽レンズとして「オクルーダー」と「オクルア」と称するレンズを2タイプ販売している。ユーザーに判り難いので次に説明を加える。両タイプとも共通するのは「遮蔽目的」すなわち片方の目を見えなくするレンズである。
オクルーダ-(旧タイプ)
オクルダ-は、レンズ後面をサンドブラスト(研磨砂を圧縮空気で吹き付ける工程)によりレンズ表面を荒し「擦りガラス」にしたレンズで見えなくする遮蔽目的を持つ、欠点として使用者側の目が白くカバーされ対面上の外観が白く目立ち好ましくないというユーザーが多い。後欠点として、レンズ後面がサンドブラストによりレンズ表面の親水性が高くなり、水や指紋がついた部分が透明になり斑(マダラ)になりやすい。
オクルア (新タイプ)
オクルアは上記レンズ後面をハードコートなどの透明塗膜をつけ半透明にしたレンズである。目的は使用者の目が相手から外見上相手から少し離れるとユーザーの目は曇って見えるが目を見ることが出来る。言い換えると遮蔽効果を持つ一方相手から目がレンズ越しに見える。これにより相手に与える印象に違和感が少なくなる利点がある。裏面に半透明にする透明コートを施してあるため水や指紋がついても斑になりにくい特徴がある。なお、左右レンズの重量バランスを保つため適宜見える方の側の度数に準じた、左右のレンズの重量がほぼ同等にする度数のレンズが用意されている。
当店独自のブラックレンズ
遮蔽では程度外部からの光線が目に入り眩しく感じる場合がある。これを改善する目的の「黒い」レンズを製作提供している。
眼帯で代用
時々あまりの見え方の悪さからユーザーが薬局などで安易に眼帯を購入し遮蔽を行っている場合がある。眼帯は確実にまぶたを閉じさせられるが衛生管理が悪いと雑菌感染の可能性を高める。加えて角膜への酸素供給が絶たれ角膜内皮細胞を痛める憂慮が有る。
上記レンズは目を閉じさせることなく開眼した状態で遮蔽を可能にし、前眼部(まぶた・角膜・結膜など)を乾燥状態に保ち雑菌感染を防ぐ側面が有ると言われている。
ユーザー
大阪市内ご在住 女性 84歳
眼科処方
右目 S+2.00 オクルア
左目 S+3.75C-3.00A80
瞳孔間距離 : 58mm
主訴
「2019年6月ころ目の筋肉に痛み。合わせて眼瞼下垂が生じ 右目瞳は中央に位置するが左目が左外側へ外れる。見え方が悪く(2重に見えボヤける)階段の上り下りが困難で日常生活に支障がある。」
来店動機
百貨店や近所の眼鏡専門店で眼鏡を作ろうと各所を訪問した。しかしこれらの眼鏡店は知識情報の不足から「オクルアは平面でないと作れない」と断られた。ネット検索で当店を知りお問い合わせの上急遽来店された。
結論
眼鏡の左右レンズの重量バランスを考慮する眼科医の配慮で遮蔽レンズにも関わらず、あえて度数を入れたケースであった。レンズメーカーもそのような情報提供を行っている。眼鏡店のお粗末な知識不足=無知が原因していたケースであった。
完成眼鏡の写真
確認
完成品を装着し左目中心がレンズ中心と一致するか検査と本人確認。
その後
手渡されたときはものが二重に見えず助かったと思った。しかし実生活上高齢のためもあり一月ほど苦労したが、ようやく片眼遮蔽に慣れユーザーは快適に生活ができるようになった。
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