比較的強い上下斜視と内斜視の複合斜視矯正
ユーザー
50歳 男性 大阪府
職業
マイナス20℃の冷凍倉庫の入出荷業務、厳しい温度差の有る職場環境のため1年前ご来店動機はプラスチックフレームの破損と作り直しであった。
主訴
当初来店時使用中の眼鏡ではどうしても像が2重に見えたりボケて見え生活や仕事に強い不自由さを感じている。運転免許用に矯正視力0.8がほしい。右目は13年前網膜剥離と網膜裂孔のためにレーザー凝固術を受けている。
使用中の眼鏡に対する検査と考察
使用してきた眼鏡は2本
1)メタルフレーム 8年前他店品
右 S-8.25C-1.00A180
BO 0.50⊿ BU 1.00⊿
左 S-7.00C-2.00A1
BO 0.50 BD 5.00⊿
総プリズム量 7.00⊿
これ以上強いプリズム度数は作れないと当時眼鏡店から言われたとのこと・・・
2)セルフレーム 他店品 (チェーン店系)
右 S-8.00C-1.00A2
BO 0.25⊿ BU 1.50⊿
左 S-7.00C-2.00A179
BI 0.50⊿ BU 0.25⊿ (何故か外斜位が入って、右左の垂直プリズムがベースアップになっている・・・理由不明だが未熟な技術者の技量が原因と思われる)
総プリズム量 1.50⊿
(略号説明 S=球面度数 C=乱視度数 AX=乱視軸 瞳孔間距離=右目と左目の中心間の距離 BO:基底外方 BD;基底下方 BU:基底上方 R>G:赤側がはっきり見え過矯正でない R=G 屈折矯正はほぼ完全 R<G 緑側がはっきりと見える過矯正)
当店測定
右目 矯正視力1.2XS-9.00;C-0.50A15 R>G
BO 3.00⊿ BU 6.00⊿
左目 矯正視力0.7XS-9.25;C-1.50A180 R>G
BO 3.00⊿ BD 6.00⊿
遠用=63.0
総プリズム量 18.00⊿
眼鏡総重量
23.0g
改善 眼鏡新旧の違い
球面度数と乱視
球面度数は過去の度数から測定結果強めにするほうが良い視力が得れた。乱視は全般的に直乱視傾向であるが右目は15度に変えたその結果右目は矯正視力1.2を得た。左目は各種度数を試してみたが矯正視力0.7が最高視力であった。
プリズム矯正
以前の眼鏡は眼科処方によるとのことであるが、全般的にレンズメーカーの「製作範囲」に対する知識不足が原因で必要とされるプリズム度数は何れもこれを超える可能性を調べていなかったと思われる。ユーザーは、矯正不足に甘んじてきたが、この度これら柵(しがらみ)を無視し必要とする強度のプリズム矯正を行った。その結果「ダブったり」「ぼやけて見える」症状なく、快適に見え、これまでと全く異なる。眼鏡は楽でよく見えるようになったという感想を得ている。
プリズム総量は両眼合わせ旧眼鏡度数は7.00⊿であったが新たしい眼鏡は18.00⊿である。この矯正による両眼視 矯正視力は1.2。 2重に見えて分離していたランドルト環は、矯正後一つに色濃く鮮明に見えている。
レンズ発注
入荷したレンズと組付け予定フレームの概要
斜めカットとカット面鏡面研磨
内斜位による耳コバ側に厚みが出るため左右レンズ両側は斜めにカットし鏡面研磨を施してある。厚み感軽減とレンズ内部で生じるゴーストを抑えた。
レンズ組み付け後の概要
フレームが黒っぽく対比的に左右レンズ両側の斜めカットと鏡面研磨による「厚み感軽減」とレンズ内部で生じる「ゴーストを抑える」目的と意味を見て分かるであろう。
斜めカットによる厚み感軽減
左右レンズ両側の斜めカットによる厚み感軽減の程度がわかる。
カット面はすべて鏡面研磨
レンズ外周を通常のカットによる白い切削痕を残した場合、コップ底の感じが強調されるが、レンズ外周全て鏡面研磨したことにより切削部は透明に仕上げ見苦しさを改善していることが写真から見て分かる。
中心チェックシール
中心チェックシールを貼付しユーザーの目でレンズ中心が適切に合わされているか自覚確認に供する目的のものである。プリズム組み込みレンズは中心を杜撰な合わせ方をされてもユーザーはレンズ中心が透明なため100%眼鏡店の言いなりになってしまう。商品透明性(核心になる品質)を公正にユーザーの目で確実に確かめるために供するものである(筆者の特許登録済み技術)。
プリズム度数は中心が変わると度数も変わる
レンズ中心が目とあっていない場合、プリズム度数は簡単に変異し目的のプリズム度数が別の度数に変化する強い憂慮のある部分である。
当店の違い
この辺が一般眼鏡店と当店が大きく異なる点である。眼鏡店の信用とかなにかの資格とかは、実はユーザーが実使用する眼鏡とは無関係のものであり、一つづつ作られる眼鏡の中核品質は、ユーザー自身が自分の目で見て確かめる必要のある品質部分であり眼鏡の快適さに直結する部分である。
奇異な中心
下記写真は左右対称にレンズが作られていないことが写真から見て分かるであろう。初めて見る人は奇異に映るかもしれない。ユーザーが最初メガネフレームを選択後装着し装着状態が自分のイメージと合うか確認の上、アイポイントをユーザーの自覚確認で捉えた座標に違いなく加工を行ったものである。言い換えればユーザーの肉体的多様性が適切に反映されたものである。
定期点検
我々の定期点検当店では定期的点検を行い目とレンズ中心位置の狂いが生じているか否か行っている。これは眼鏡の快適性を確保するための大切なアフターケアーであり、この定期的点検の中でユーザーが眼鏡使用で快適か否かを確かめている。
レンズ中心座標
ちなみにこのケースの中心座標は
鼻中心から水平方向に
右 32.0mm
左 31.0mm
垂直方向にフレーム下端から
右 12.9mm
左 16.2mm
で特に左右の高さに違いがある。
コメント