【実施例】 レンズを薄く軽く 遠視性乱視の場合

【実施例】 レンズを薄く軽く 遠視性乱視の場合

ユーザーの眼鏡に生かされる筆者の特許技術とギネスブック記録

 

ギネスブックとGマーク受賞

ギネスブックとGマーク受賞

 


ユーザー

大阪市内 72歳女性

主訴


よく見える老眼鏡(近用・遠視性乱視)を軽く作って欲しい。

度数


右 S+3.25C-0.50A75
左 S+3.25C-0.50A115
瞳孔間距離 57mm

レンズを薄くする

このような遠視性乱視のレンズは、既製品の一般レンズを使用すると一般的に球面度数と乱視度数が絡み合いレンズの厚みが分厚く所定の厚みを変えることが出来ない。

 

薄く・軽く・速い納期

筆者は、医療用具製造責任者の資格を持ちレンズ製造全般に従事した経験がある。説明はまた機会があれば詳しく記述しようかと思うが過去の殆ど手作業による製造方法と今日デジタル化された製造法では雲泥の差がある。

レンズ発注は、別作による研磨工程で各種のレンズ製造指示をメガネフレームの形状測定機器を使い、事前にフレーム上に測定された目の中心を座標入力し簡単に最大限レンズの薄さを実現できる。またレンズの重量は薄くすることで軽量化される。

過去には複雑であったこの様な加工指示は小売店から直接オンラインで製造ラインに製造指示が出され、間に人が介在しないため加工日数が昔に比べ短くなった。またレンズの外周加工(フレームの形状に合わせる加工)は、レンズメーカにオンラインで指示すれば、フレームにすぐ取り付けられる状態まで完成度を高められる。

但しこの辺の作業は「人」が介在し失敗のリスクや、加工難度の高い特殊なプリズムレンズの加工はレンズメーカーが引き受けていない。特殊な加工が多い筆者は、今もレンズ外周加工はレンズメーカーに依存せず自店で加工している。

 

薄く軽くする原理

 

「凸(遠視性)レンズの厚みはリンゴの実を薄く切るか分厚く切るかの違い」

メガネユーザーに上記説明はわかりにくいだろうと思う。要は非常に簡単、リンゴや柿の実を分厚く切るか、薄く切るかの違いだと理解していただければわかるであろう。少しの費用・工夫で厚み・重量は、大きく改善できる。また、レンズを薄くすることは、光線がレンズ素材を透過する時のロスが少なく明るく見やすくする工夫の一つである。

 


THE GUINNESS BOOK OF RECORD 軽量度に対するチャレンジ

 

ギネスブックとGマーク受賞

ギネスブックとGマーク受賞

 

筆者の持つギネスブック記録の重量記録 4.583g

1988年8月 筆者 星野龍一は、世界一軽量な老眼鏡を発明し、レンズ(各度数を含む)をフレーム合わせた重量 4.583gの記録を樹立した。

これらの基本的原理は、上記の応用である。これに合わせ、数学の幾何学的原理を応用したレンズに傷をつけないケースを考案した同技術は日本特許登録済みである。

グッドデザイン賞 特別賞受賞

平成10年、ギネスブック記録樹立と並行し、Gマーク収得と審査評価で上位入賞を果たし「中小企業庁長官特別賞」受賞した。

これら「ギネスブック申請」や「Gマーク申請」は、筆者自身自ら全てその申請をダイレクトに行った。

アラン・ミクリの話

同品を東京 イワキ・メガネの重役が著名なデザイナー 「アラン・ミクリ」本人に見せたところ「日本人のデザインだと信じれない」という話は今も伝説である。

 


実例で説明

 

レンズメーカーから出来上がってきた未加工のレンズ

 

レンズメーカーから出来上がってきた未加工のレンズ

 

未加前のフレームとレンズ 模擬レンズのオレンジ色シールは近見視線経由点を表す

 

未加工のフレーム・レンズ・視線経由点を測定した模擬レンズ

 

フレームに取り付ける前の加工済みレンズ

 

フレームに取り付ける前の加工済みレンズ

 

上と下の数値が併記されているが、
上は別注レンズの厚み、下は既成レンズの厚みを表現している。

 

レンズを軽く薄く作る

レンズは、細い溝線に収まっているのが分かる。

 

↓ 眼鏡上からの概要
レンズは、細い溝線に収まっているのが分かる。

 

↓ 眼鏡下からの概要

レンズは、細い溝線に収まっているのが分かる。

 

↓ 正面からの概要

レンズは、細い溝線に収まっているのが分かる。

 

重量

出来上がった重量は、フレーム+レンズをあわせ
12.6g

光学中心 ユーザー確認

手渡し時、この中心が目と合うか、筆者はユーザー確認を常に行っている。

遠用眼鏡に比べ近用眼鏡(老眼鏡)を作るのは難しい

 

普通ユーザーは価格の安さから老眼鏡を軽視する傾向がある。しかし近見用すなわち老眼鏡は、「目線の経由点」を捉えるのが遠用眼鏡より近用眼鏡のほうが測定など数段制作に手間がかかり製作は遠く用の眼鏡より難しいという裏事情がある。このことをユーザーは知る由もない。

 

光学中心を目に合わせる

 

透明で分からないが、レンズには目に見えない一点の「光学中心」があり目に適切に合わされて始めて自然かつ楽に見えるようになる。特にこの事に注意が必要なのは、左右の度数差が顕著に異なる「不同視」の場合である。眼鏡を使用する視線方向を誤った眼鏡は、後天的な上下斜視を形成する憂慮が有る。

また不同視がなくとも正しく目線経由点を捉え丁寧に作られた老眼鏡は、文字などが格段に見やすくなる。

しかしながら、レンズメーカーへの単焦点レンズ別注などで旧態依然、眼鏡学校の「測定によらない」「黄金律内寄せ4ミリ下げ3ミリ」の影響を最新の計測システムに未だ垣間見ることができる。

 

写真から

 

上記写真を注意深く見ると、ユーザーの遠くを見る視線位置(写真には無いが)からかなり下にオレンジ色のシールがマークされているのが分かるであろう、ここがユーザーの近くを見る視線経由点である。これはユーザーが読書などで、机やテーブルの上に新聞や書物を置いて文字などを見る視線は、条件反射的に内側下方に偏移する位置を捉えたもので個人により姿勢や習慣により個人差があり人それぞれ適切に測定されるべきものである。

 

昔は

 

最近はどうか知らないが、「眼鏡学校の教本」などでは「近見視線を測定する」という概念や不同視に対する配慮がなく、単純に遠見より下方3mm下、内寄せ4mmという表現がされていた。

 

老眼鏡こそ実は作るのが難しい

 

一般に目の中心と合わない粗雑な老眼鏡やルーペ眼鏡が出回って巷にあふれている。混同されやすいが、一つ一つ目に合わせて作られるオーダーメイクされた老眼鏡とこれら既製品とは見え易さは格段と異なる。技術的に人の眼生理と光学原理を考慮し作られる一人一人に合わされた老眼鏡は根本的に異なるものである。

結論

 

老眼鏡こそ実は作るのが難しいのである。

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