階段の昇り降りがし難い
病名 滲出型加齢黄斑変性症
大阪市在住 82歳 女性 事務職
主訴
階段の昇り降りがし難い、事務職で文字が読みづらい、眩しい、加齢黄斑変性症 がある。
病状に対する補足
黄斑変性症には「滲出型加齢黄斑変性」と「萎縮型加齢黄斑変性」の2つのタイプがある。このケースはウェットタイプ「滲出型加齢黄斑変性」である。
眼鏡対応
度数の特徴
遠視性乱視、比較的強い乱視と左右の度数差(不同視)。外斜視、特に遠見よりは近見における近見輻輳に重点を置いた。
右 裸眼<0.05 矯正0.5 X S+1.50 C-4.50 A115 BI 1.00⊿ 近見加入 +3.50
左 裸眼<0.05 矯正0.4 X S+3.00 C-3.00 A85 BI 1.00⊿ 近見加入 +3.50
瞳孔間距離 63mm
留意点
乱視が強いので、些かの乱視軸ズレでも見え方はかなり悪くなる。実測枠装着後の枠の傾きなど注意深く観察・測定に留意した。テストフレーム実装後枠の傾きなどを加味補正しつつレンズ加工実施。
レンズは薄くしていくと変形する
使用したレンズは、ナイロールフレームのため適宜レンズ厚を必要最小限に確保しつつ可能な限り薄くするため、レンズ設計を行ってレンズ発注。そのため通常形状は円形だが、下半分は削り飛ばされた歪な形状であるが不良品ではない。必要な面積と厚みを確保されたものである。
加齢黄斑変性症に伴う眩しさ(羞明感)を和らげる
ユーザーは眩しさを減じる遮光レンズの色目が好みに合わず、一般的な遮光レンズ・カラーや既存のカラー見本などからご自身に適するカラーを選択された。遮光レンズは「医療費控除対象」になるが必ずしも「遮光レンズ」だけが黄斑変性症の対象とは限らない。
遮光レンズの原理
遮光レンズは、原理的に屈折しやすく眼内で乱反射を起こし眩しさを生じる「短波長可視光」すなわち「青色系の光線」を減じる事のできる「反対色」すなわち黄色やオレンジ系のものを使用するのが原理ではある。当方ではHOYAや東海光学の遮光レンズ見本全種保有し適宜ユーザーが眩しさを減じるタイプを特定しているが専用の「遮光レンス」に限ること無く広い選択肢を提供している。
黄斑中心窩
黄斑変性の生じる網膜の中心にある「黄斑部中心窩」で色や形などを感じる。黄斑中心窩の感覚網膜は3層の構造を持ち、ダメージの具合などにより色に対する羞明感は個人差がある。
下記図は読者の理解を得やすいよう参考として掲載
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