遠近両用レンズ中心の不一致例

 遠近両用レンズ中心の不一致 

 中心が合わされていると信じていたユーザーの掛けている遠近両用眼鏡のレンズ中心が合っていない事例、稀なケースではない。

何故このようなことが

 「レンズメーカー=信頼」ではない。信頼は、単純にいろんな宣伝を行うレンズメーカーが提供するレンズブランドに関心を寄せがち。

レンズは小売店で加工されている

 いくら優秀なレンズも小売店で加工されたものであり、品質は小売店に左右されている。店側の測定の良し悪しや加工技術がそこに介在し関与する従事者の技量・経験・知識により大きく左右される。このようなことが起こる第一原因はレンズが透明で全くユーザーに対し商品透明性がないため、ユーザーによりレンズ中心確認はほとんど100%と言っていいほど確認されていない。

どのような見え方になるか

ものを見やすくするため「見え方のエンジン」になるレンズ、特にこのような場合遠近両用という言葉は機能性を指している。レンズ中心と付加された機能性は、厳密かつ正確に遠くを見たときの目の中心に合わされていなければレンズの優れた機能性はたちまち崩れ去り「遠くも近くも見難くなる」。逆に言えば「遠くを見る目の中心にレンズ中心を合わせ」れば、自動的にレンズが持つ機能性が生きてくる。


事例

ユーザー

岡山県から同時にお二方がご来店  2017/03

ご来店動機

下の写真を参照されたい。

いずれもグリーン◯の位置がレンズもつ遠用中心である。

角膜頂点=目の中心、は白く光った点である。ここにレンズに設計されたグリーン◯が位置しているかどうかであるが・・・合っていない。

よく見えない

どの眼鏡も「よく見えない」ということでわざわざ遠方岡山県から知人をつてに相談のためにご来店された。お二方は、メガネを作りよく見えないということでそれぞれ別の店などで眼鏡を二本調整されていた。

いずれの方もよく見えないので困った挙句、人づてに当店の噂を聞いてのご来店であった。

写真の見方

グリーンの円は元来遠くを見たときレンズにデザインされた中心。

黒目の白い点は、専門的には角膜反射点、分かりやすくは「目の中心」

正しく合わされているなら、白い点を囲むようにグリーンの円が位置するはず・・・だが下の写真4枚の眼鏡はいずれもレンズ中心と目の中心が合っていない。

 

症状

↓こちらの方は、もはや遠くはもとより近くも見難く、階段の昇り降りに困難をきたしていました。歩くと揺れる。

文字が読めない・遠くはぼやける・歩くと揺れる

文字が読めない・遠くはぼやける・歩くと揺れる・階段の登り降りが怖い

 

解決

新たに作り直し。手渡し時レンズ中心の一致は自覚確認(自分の目で見て確認)していただきました。1週後大変お喜びの声を頂いています。

これだけ中心が狂っていれば・・・最初他人様の眼鏡を使用していたのでは無いか?と内心疑うほどでした。

眼鏡士の資格があることを売りにしている眼鏡専門店だということで、これまたビックリ。


レンズ軸がずれている

別のケース

ご来店動機は、フレームのネジが緩み修理依頼であった。

問題点

軸のズレ

レンズをチェックしてビックリ。どういうふうに作ったのか?レンズの軸が大きく回転し加工されており左レンズ軸が大きくズレている。可能性としてはレンズをブロックする時間違えたか、レンズが加工最中にスリップしたか・・・である。

高さの狂い

右左で高さは合っていない。度数が弱いので大きな影響なく見えているようでしたが・・・聞くと、案の定、「近くはよく見えない」とのこと。

経済性

とても安かったそうです。


別の事例

問題点

レンズ中心が全体に左に寄り(眼鏡は掛けた側の位置で話します)、このケースは、右レンズ中心が大きく内側に寄って上に位置している。遠近両用メガネです。

フレームが左によっていると言ったほうが良いか・・・


別のケース

フレームが左に寄っており、右左で上下に中心合っていません。厳密にいえば合っていない。でも上の例から比べると軽微な狂いで調整で補える程度でした。

ユーザーがよく見えないということで検査測定したところ、よく見えない理由は度数にもありました。

遠近両用メガネ


ユーザーが留意するべき点

賢い消費者になってほしい

少し賢いユーザーになるためには、留意するべき点がいくつかあります。レンズについて少し知っていれば未然に事故を防げます。

レンズの特徴

遠近両用レンズは、よほどの安物レンズでない限りレンズにテストシールを張って検査することの出来る「隠しマーク」が左右それぞれのレンズに2点、レンズに施されています。

そこに印点し写真のようにテストシールを貼ると遠用の中心と近用の加入度数位置を簡単に見て知ることが可能。

一般に銘柄の通ったレンズの場合、簡単にレンズの中心が目にあっているか「あなたの目で見て確かめること」が出来ます。

何故見難い

「見えにくい」理由や原因は、実にたくさんがありここですべてを語り述べるのは困難なので、話を屈折度数など正しく合わされていると仮定し「目とレンズ中心」に限って話すと、眼鏡の見難さは「レンズ中心が目の中心と合っていない」

中心が異なることにより

●必要としないプリズムという度数が生じる

●遠くを見るための度数が中心以外の位置で見ると度数が変移する

等の原因による場合が多い。

どのようにして防ぐか

レンズ全般に言えることは、レンズは「透明」でありユーザーが自分で点検調整を行うのはほとんど無理。したがってまず眼鏡店に正確なアイポイント測定を依頼し、後の点検し中心の狂いを補正する以外方法がない。

レンズ中心は、フレームが歪むだけで簡単に中心位置が変移する分かりやすくは「狂い」ます。時間を掛けて徐々に歪んだ場合、ユーザー本人は気が付かない場合が多く定期的な点検調整を必要とする所以がここにある。

このような認識を店やユーザーが互いに持つ必要がある。


単焦点レンズ

上記で遠近両用レンズを語るだけでは片手落ちなので「単焦点レンズ」についても述べたい。この事例は、遠くを見るための遠用単焦点眼鏡です。

単焦点レンズ

ユーザー

プロドライバー

見え方

運転していて何故か遠くのものがぼやけて見にくかった。

 

上下斜位

フレームが左に傾いており右側レンズ中心が上に変移している。

当初より違和感があったとのことで、精密なフレーム調整が施されず無造作にレンズ加工を左右対称にされたと考えられる。

来店時「両眼視機能検査」で右目に上下斜位が生じていた。

原因

斜視が生じたのは、目が先か眼鏡が先かよくわからない。しかし中心の合わされていないメガネを掛けていたのが原因だろうと推測される。

 

まとめ

以上いろんな事故例を列挙したがこれら中心の狂いの生じたメガネは残念ながら1つや2つ稀に見る現象ではなく実に多くの事故事例が後をたたない。単純に見え方が悪いだけで済まさず中心の狂いが眼痛・頭痛等さらには全身的な影響を体に及ぼす場合がある。

原因はレンズが透明で、度数があれば必ず生じる光学中心が目と合わされていないこととこの点は単純に見てわからない事による。メガネを対価を払って購入する時、「目で見て分かる」色やデザインなど格好の良さファッション性を追求するより「目で見て見えない部分」に強い関心を持たれることを願いたいし我々眼鏡専門店はその責任を負っている。

このような問題は、店の信用で簡単に済まし「だろう」で解決できる問題では決して無く、ご自身の目で見て透明で見てわからない「レンズ中心」を「自分の目で見て確認」する用心深さがあなたの目を守ることになる。

 

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